毎クール数多くの作品が放送されるアニメですが、ごく1部の第2期放送がなされる作品以外、ファンの脳裏からも忘れ去られ存在すらなかったかの様な扱いを受ける事も良くあります。しかし、長年に渡って語り継がれ心の中に強烈な印象を残している作品も存在しています。最近はちょっと少なくなっている感があるのですけど、ほんの数年前までは素晴らしい神作品が存在しています。今回の個人的神アニメ紹介第2回は、私が最も涙を流した作品CLANNADを取り上げます。



 CLANNADは2004年、Keyから発売されたパソコン用ゲーム。パソコン用だったのでエロゲーだと思われがちですが、実際は全年齢対象の内容となっております。PS2・PSP・PS3に移植されており、泣きゲーの代名詞と言っても過言ではないでしょう。アニメ化されたのは2007年秋・2008年秋の2度。主人公岡崎朋也と病弱な同級生古河渚の恋と成長を描いた作品は、美しい映像美とテーマである家族の絆が丁寧に描かれ、私は異なるエピソードであっても何度も涙を流しました。




今回特に紹介したいのは、CLANNAD ~AFTER STORY~第18話大地の果てです。放送が終了して4年経過していますが、この作品ほど涙を流した人が多いストーリーは無いと言えるのではないでしょうか。実際私もこのストーリーの記事を書いた時には、物凄い反響があったことを思い出します。では何故それほど多くの人を感動させたのかというと、家族の絆を取り戻すまでの過程が素晴らしかったと思います。実は神回シアターの申し込みはこの作品を選びました。



CLANNAD~AFTER STORY~第18話大地の果て

 不良の高校生岡崎朋也は、年上の同級生古河渚から演劇部を復活させて欲しいと哀願される。はじめはやる気の無かった朋也だったが、渚のひたむきさと自分が感じなかった家庭のぬくもりを感じ、徐々に渚との距離が縮まって行った。紆余曲折がありながらも、演劇部は復活し独り舞台を演じる事になった渚。しかし、ひょんなことから両親の過去を知ってしまい、演じる事が出来なくなってしまった。


 必至に励ます朋也だったが、渚には両親の夢を潰してしまった罪悪感から心が張り裂けそうになっていた。そんな時救ってくれたのが父親の秋生だった。彼の大きな声は閉ざされていた渚の気持ちを解放し、見事に独り舞台を演じ切った。その後、2人は交際をスタートした後結ばれ結婚。一人娘を授かったのだが、元来病弱な渚は娘の汐を産んで力尽きて亡くなってしまった。



 最愛の人を失った朋也の人生は、もう抜け殻そのもの。何の生きがいも無く現実から目を背くようにがむしゃらに働いた。休みの日にはただ暇を潰す為だけに金を使うだけだった。娘の汐には目もくれず、人生を謳歌するという言葉とは程遠い生活が5年ほど続いた夏のある日汐を育てている早苗から朋也はデートに誘われた。乗り気ではない朋也は、ファミレスで小さな子どもがはしゃぐ姿を見て目を背けてしまう。実は早苗は朋也を誘った目的は旅行に行こうと誘う為。



 全く旅行に行こうという気分ではなかったのだが、早苗のごり押しにあって仕方なく誘いに乗ったのだが、古河家を訪れた朋也の目の前には早苗も秋生の姿も無く、居たのは一人娘の汐だけ。そっけない態度を取り無視しようとするのだが、かまって欲しい汐はおもちゃで遊ぼうと言って来たりした。親子の関係とは呼べないギクシャクした他人同士が、同じ屋根の下に居るような状態だった。



 しかし、汐はそんな朋也でも父親だと思っていた。だから、早苗や秋生が居なくても一緒に旅行に行きたかった。列車の中でも遊んで欲しいとせがんだりコミュニケーションを取ろうとしたのだが、朋也にはそんな気持ちはなかった。むしろ隣の席の親子に怒鳴り散らす有様。汐は怖くても泣いちゃ駄目だと言われており、仕方なくトイレの中で涙を流していた。とても親子水入らずの旅行とは言えない2人は目的地に到着した。



 駅の中で朋也は汐におもちゃを買ってあげた。気まぐれかもしれないが初めて親らしい事をしてあげ、汐はロボット買ってもらって嬉しそうだった。決して女の子向けではないおもちゃではないが、それはまさに宝物と同等の価値があった。しかし、宿泊地に到着してからもギクシャクした関係は続いていた。何か言いたいそぶりを見せる汐だったが、怖くて言えずにいた。翌朝、ひまわりが咲き誇る大自然の中、初めて見る光景に興奮する汐は、ロボットを持って走りまわっていた。



 しかし、眠っていた朋也はロボットを無くしてしまった事を聞くと、2人で周囲を探してみたのだが中々見つからない。諦めて新しいおもちゃを買ってあげようと説得するのだが、汐にとってはあれで無ければ駄目なのだ。頑固だなと思いながら呆れ顔な朋也は、親子連れのデジャブを見て、過去の自分に関係があるのでは思い海が見える先まで歩いていくと、目の前に年老いた老婆の姿を目にした。



 自分を知っていた老婆は、父直幸の母親つまり祖母だった。朋也との関係は最悪でいつも衝突していた2人の間には喧嘩が絶えず、バスケットを止めるきっかけとなった怪我を負ってしまったのも喧嘩が原因だった。朋也にとっては嫌悪感しか感じない直幸であったが、祖母は直幸の過去について話し始めた。高校を中退して結婚した後朋也を授かり、貧しいながらも幸せな生活を送っていた直幸。それが妻の死をきっかけに状況が一変、ショックで立ち直れない程の悲しみを味わった。



 しかし、たった1人残された朋也の為に頑張ろうと決意した直幸は、仕事が上手く行かなくてもとにかく立派に息子を育てるのだと一生懸命自分を殺して頑張った。それが喧嘩という形で受け入れられなくなったとしても、自分は必ず立派な大人に育て上げるという気持ちはずっと持っていた。朋也は今の自分とオーバーラップさせ、育児を放棄している自分は、父親を非難出来ない情け無い人間だと気付いた。



 今まで知らなかった事を聞かされ、自分は子どもと向かおうとしていなかった朋也の心は変わり、汐と向き合おうとした。また新しいロボットを買ってあげようと優しく声をかける姿にもう怖いイメージは無かった。初めて自分の為に選んでくれたおもちゃは特別な物。だからどうしても見つけたかった汐は、感情を露にして涙を流した。朋也もちゃんと正面で向き合い、5年の月日を要したが2人が本当の親子となった。帰りの電車の中で亡くなった渚の話をし始め、お互いの絆と思いを共有するのだった。



 この物語は途切れていた親子の絆を取り戻すお話なのですが、朋也が嫌悪感を抱いていた直幸が、自分の為に一生懸命頑張っていた事を知り、今の自分は現実から目を背けて娘の汐と向かおうとしない事を恥じて、きちんと向き合おうとする感動的なお話なのですよね。そして、何より素晴らしかったのが演出です。大自然の中結ばれる親子の絆は、素晴らしいBGMが相乗効果となって感動を呼び起こす。これを観ないで何を神回と呼んで良いのかと主張したいと思います。また、17・18・19話はまとめてみる事をお勧めしたいですね。この3話はまさに親子の絆を訴えるのには最高だからです。是非ご覧になって欲しいと願っています。