自然あふれる南の島アリゴマ島、少年時代の切嗣は父親の矩賢(のりかた)共に村の子供達と一緒に海で遊ぶ活発な少年だった。そんな切嗣には矩賢から魔術を教わる少女シャーレイが仲の良い友達としていつも行動を共にしていた。切嗣は子供達から一目を置かれる存在だったが、矩賢の住む屋敷は村の人々から悪い噂が浸透していて、誰も近づく者はいなかった。それが功を奏してか、矩賢はとある研究を進めていた。彼もまた衛宮家の5代目の当主であり、魔術師だったのである。



 矩賢は花を使って枯れずにずっと咲き続ける方法を考えていた。つまり、時間操作の魔術を用いての寿命の操作を行い、時臣も目指した根源への到達を達成すべく研究を続けていた。花は咲き誇った状態を維持しているが、矩賢が目指していたのは、人間が若さを保ち行き続けられるかどうかの研究だった。「見て見て、これがあたしの初成功例よ。」魔術の手ほどきを受けていたシャーレイも見よう見まねで花を枯らさずに咲き続ける状態を維持させる事に成功し、自分の名前を書いた鉢を並べた。「ねえシャーレイがやってみたやつ僕もやっちゃ駄目?」興味を持った切嗣もやってみたいと言い出し、シャーレイも賛同するのだが、矩賢の反応は冷ややかだった。(ガキ大将みたいな切嗣と活発なシャーレイ、年は離れているけど切嗣にとってはお姉さんであり初恋の相手って感じがします。お父さんの矩賢さんは、凄くまじめで時臣さんのようなタイプなのですけど、周囲には気を配らないタイプですね雁夜おじさんなら絶対に認められないような人だと思いました。)



 「駄目だ!切嗣お前にはまだ早すぎる、遊びでは無いのだ。シャーレイだって知識と経験をつんでいるからやらせているのだ。」魔術は遊びではない!たとえ簡単そうに見えても、切嗣にはまだ教えるつもりはなかったのだった。そんな危険を伴う事を理解している矩賢だが、村人達からは目の敵にされ、シャーレイには近づくなと釘を刺していた。「シャーレイは父さんの事怖くないの?」皆が怖がり、護身用のナイフまで持たせている状況で、切嗣は矩賢の事が怖くないのか尋ねた。「全然、戦線の知識や発見は歴史に残ってもおかしくない大変な物ばかりだもん。むしろ凄い人だと思っている。」豪快にスイカにかぶりつきながら、シャーレイは矩賢の事を尊敬し、役に立ちたいと考えていた。(純粋でとてもいい子ですね。自分が実験として使った花は枯れてしまったけど、矩賢の薬なら人類の役に立つと思っている。魔術が人の役に立つと考えているのは、Fateでは彼女だけかもしれないです。本当にそう思うけど、この物語がそんないい風に進むとは思えないのが当たり前になっているのですよ。)



 

 夜、衛宮家を訪れたシャーレイは、切嗣にある事を言い始めた。「あたしは花止まりだけど、先生はもっと先を進んでいる。きっと世の中の役に立つとわかってもらいたいんだよね。でも先生は諦めている。でもケリィ、君ならきっと出来ると思う。あたしは弟子なんかじゃないよ。助手がいいところ。あたしは弟子でもなんでもないのよ。ケリィ、君は間違いなく先生の跡継ぎなんだよ。いつか引き継がせる為に準備しているのよ。ケリィはどんな大人になりたいの?世界を変える力なんだよ。君なら出来るよ!」自分の魔術の才能を理解していたシャーレイは、切嗣が矩賢の研究を引き継ぎ、世界を変える力があるかもしれない魔術を受け継ぐだろうと思っていた。だからこそ、大人になってもずっと隣に居て見守りたいと考えていた。そんなシャーレイの気持ちを知った切嗣の中に淡い濃い恋心が芽生え始めていた。




 翌朝、眠っていた切嗣に矩賢が、工房に入ったかどうか尋ねてきた。入っていないと答えると「切嗣、今日は村には行くな。家から出るな。」頭ごなしに外出禁止を言われ、訝しがる切嗣は夕方までシャーレイが自宅に来るのを待っていた。しかし、いつもなら現れるはずのシャーレイが現れない。心配になった切嗣は言いつけを破って、彼女の自宅まで足を運んだ。ドアの鍵はしまっておらず、中に入っても人の気配はない。ただ、ビンの音がした時、切嗣は矩賢の工房に存在した試薬だと気が付いた。そして、外に出ると傷ついた鶏の姿があり、更に奥には鶏に噛み付くシャーレイの姿があった。目は常軌を逸しておりとても普通の人間とは思えない姿に変貌しており、切嗣が声をかけると逃げるように折の中に入り込んだ。(どうして、シャーレイはこんな事をしたのだろうかと考えると、自分が矩賢の研究の証明をしようと考えたのでしょう。例え好奇心があったとしても、そう考えるのが妥当だと思いました。ただ、悲劇を生み出す結果になるとは思いもよらず、半死徒化してしまった自分の姿を見せたくないのはわかります。自業自得と言ったらそれまでですけど、純粋な気持ちが生んだ悲劇だと言えると思いました。)




 自分が人間とは異なる存在になるまいと必死に耐えるシャーレイを見て、切嗣は何とかして助けよう考えるが、「あたしは先生の研究を証明したかった。でも駄目、もう抑えきれない。だから、君が殺してお願い。」人々に危害を加える前にけじめを付けたい。彼女が望んだのは死徒になるよりも死を選ぶ事だった。しかし、切嗣にそんな事が出来るはずもなく、助けようと奔走した結果、夜になると既にシャーレイは何者かに殺されていた。しかも、村に様子を知らせようとした神父は、噛み付かれ死徒化した村人に襲われてしまった。アリゴマ島はバイオハザード状態となってしまった。




 1人、教会に残った切嗣だったが、もう抑えられない数の死徒が迫り、声を出すまいと必死になっていた。絶体絶命の状況下で現れたのは、神の教えには存在しない異端者を排除する聖堂教会の代行者だった。更には証拠を隠滅しようと村を火の海に変えた魔術教会の魔術師もアリゴマ島に現れ、死徒と火の海という地獄を幼き日の切嗣は目の当たりにしていた。そして、切嗣の目の前にも無数の死徒が迫る。囲まれて恐怖のあまり座り込み動けない状態の中で、突然銃声が響き渡った。弾丸を口で加えながら颯爽と現れ、顔色1つ変えずに死徒を殲滅していくのは女性だった。彼女こそ切嗣の人生において、大きな影響を与えるナタリア・カミンスキーだった。(まさかFateでバイオハザードが発生するとは思いませんでしたが、切嗣は少年の頃に地獄を見ていたのですね。平和を守る為に少人数を切り捨てるという考えは、シャーレイの悲劇があったからだと思います。でもナタシアさんは颯爽と登場して格好いいですね。切嗣には母親がいないみたいですから、母親という視点で見るような人物ではないでしょうか?)



 事情が飲み込めず、何故村が燃やされたのかわからない切嗣は、ナタシアが何者なのか?何故村がこんな状態になったのか尋ねた。「坊やも聞いたことがあるだろう吸血鬼って?血をすって仲間を増やすのさ。もうこの島の殆どの人間は死徒になっちまった。そして2つのグループが死徒退治に精を出している。1つは聖堂教会の代行者。神にそむいた罰当たりは皆殺しにしていいと信じて疑わない連中だ。もう一方の魔術教会は、死徒なんていう奇天烈な存在を産み出した秘密を独り占めしたい連中だ。当然、独り占めが目的だから他に知っていそうな奴は徹底的に殺す。村に火をつけたのも証拠隠滅のためさ。あたしは魔術教会のセールスマン。最初に死徒化した人間の媒体となった物を産み出した人間、封印指定の魔術師を探している。」ナタリアはそれぞれ意図を持って現れた代行者と魔術教会の存在を明かし、自分は元凶を生み出した魔術師を殺す為にやって来た目的も明かした。




 ナタリアが探している封印指定の魔術師は、矩賢であると気付いた切嗣は自宅に戻った。既に現金を持ち、証拠になる魔術書を処分した後で、シャーレイの悲劇を引き起こした研究について切嗣は問いただし始めた。「どうして死徒の研究をしていたの?シャーレイが自分に魔術をかけたんだ。父さんはいずれ僕の事も?」花を枯らさずに割き続ける研究が、死徒のような化け物を生み出し、取り返しの付かない悲劇を生み出してしまった。しかも、初恋の相手が犠牲となってしまった。切嗣はどうしても矩賢の事が許せなかった。




 それに対して矩賢の返答は、あまりにも冷たいものだった。「吸血衝動を抑えきれない死徒化など失敗だ!だが、我ら衛宮の探求には、どうあっても久遠の時がいる。死せる運命の肉体では根源には到達出来ない。それに今は逃げることが先決だ。こんな事もあろうかと島の南にモーターボートが用意してある。」亡くなったシャーレイや友達の事など省みず、自分の研究の事だけしか考えていない矩賢の態度を知り、ナタシアに自分が殺すと決めていた切嗣は、本当にナイフで腹を刺した。(悲劇の元凶たる人間が、責任も感じず失敗だと片付けた姿は、本当に誰も泣かない平和の世界を望んでいる切嗣にとって、排除すべき存在でしかないのでしょう。尊敬しただろうし、父親らしい父親だったと思うのですけど、真の姿は魔術師らしい魔術師でしかなかった。切嗣の考え方は、根幹は雁夜おじさんとよく似ていると思います。)




 苦しむ矩賢を目の前にしても、切嗣は躊躇無く銃で止めを刺した。「この人は逃げたらまたどこまで死徒の研究を続けるんだ。」結界を突破したナタリアを目の前にして、先に父を殺めた切嗣は、怒りをこめて殺した理由を語った。「父親を殺す理由としては下の下だよ。」肉親を殺めた理由としては最低だと断罪するナタリアだが、彼女は切嗣を連れてアリマゴ島から脱出し、切嗣は魔術師として彼女と同じ道を歩み始めるのだった。(強烈な記憶があったからこその切嗣の行動だったのですね。父親を殺めるのも大きな悲劇を起こさせない為の行動だったのです。本当に枯れは正義の味方になりたかった気持ちが良くわかります。たとえ父親であっても、人に危害を加えるような研究をし続ける事は許せない。仲良くなった島の友達やかけがえの無い存在になっていたシャーレイを殺した訳ですから。こういう原点があった中で、来週はまた過去の切嗣がどうなったのかが描かれます。セイバーはもしこの話を知ったらどう思うか興味ありますね。)