第11話 聖杯問答振り返り
ケイネスを追撃すべくアインツベルン城から立ち去った後、留守を預かるアイリスフィールとセイバーの元に突然の来訪者が現れた。正面玄関を破壊して現れる豪快な登場の仕方から、そのサーヴァントがライダーとウェイバーだと理解したセイバーは、聖杯戦争のライバルの登場に当惑していた。通常なら戦闘が開始されるはずなのだが、ライダーは騎士王と知った上でとある提案をした。それは王の器を話し合いによって図り、聖杯を得るに値するか否かを診断する聖杯問答である。
しかも、参加したのはライダーだけではなかった。冬木市内で出会ったアーチャーにも参加を打診し、わざわざアインツベルン城に赴いて来た。3人による王としての器を図る問答は、互いの聖杯を求める理由を語る事から始まった。アーチャーは宝と呼ばれる存在は、全て自分の所有物だと自負している。召喚に応じたのも聖杯が自分の所有物だと考えていたから。だから、それを奪い取る存在に天誅を下すのが、聖杯戦争に参加した理由である。事実、アーチャーの持つ黄金のビンに入った酒は、ライダーが絶品だと舌鼓を打つほど。宝具も含めてアーチャーのコレクションは超一級品なのである。
一方、ライダーが聖杯を欲する目的は、魔力の力で現界するのではなく、受肉し身体を取り戻し転生した現世において、征服王イスカンダルとして生きる事。まさかの願望にマスターであるウェイバーを筆頭に全員が驚くばかり。しかし、ライダーは世界の果てを求めて戦った過去をもう一度取り戻したいと考えていた。そして、最後に残ったセイバーは自分の為に聖杯を求めるのではなく、滅ぼしてしまった故国ブリテンの復活を願っていた。
王は民と国の為に尽くし、道理と倫理を背中で示さなければならない。セイバーは聖人君主として振舞って来た。しかし、このセイバーの言葉にアーチャーは大声で嘲笑し、ライダーは徹底した非難の言葉を浴びせた。王とは民や国の頂点に君臨し、自らの意志や行動で先頭し身命を捧げるのが民や臣下だと訴え、暴君よりもたちが悪い暗君であると言い切った。更に王の存在は誰よりも強いリーダーシップと畏敬の念を払われる存在でなければならない。だから、民や臣下は王に憧れや抱くのである。セイバーのやって来た事は、ただの救済者であり国の頂点に君臨する物として導く事はなかった。いわば王の偶像に囚われた小娘でしかないのだと。
自分の生き様を完全否定されたセイバーは、ライダーから既に王の器ではないと烙印を押された。つまり、聖杯を得るに値しない存在でないと言われたのだ。そんな時、時臣がライダーの宝具の威力を図るべく、綺礼にアサシンを乱入させろと命じたのだ。アサシンは多重人格を1人の人間として存在させる宝具を所持しており、その数は100人にも迫ろうとしていた。その時、ライダーは「王とは孤高か否か?」とセイバー、アーチャーに問い掛けた。2人とも「孤高」だと応えたのだが、ライダーは「判ってない。」と否定し、彼と共に大地を駆け抜けた仲間達を呼び寄せる宝具を使用した。
王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)は、固有結界にかつてイスカンダルに仕えた強者達が一堂に集い、イスカンダルの愛馬も駆け付けた。その強さは圧倒的で、アサシンの大群をアッという馬に仕留め、最強の宝具である事が証明された。アーチャーは雑種の集まりだと鼻で笑ったが、セイバーは自分も否定されライダーの強さを見せ付けられた。しかし、王として認められなかったとしても聖杯戦争は続くのだ。こうしてアインツベルン城の夜の宴は終演を迎えた。
第12話「聖杯の招き」 見どころ
あらすじ
一人冬木市のホテルに潜みながら、各陣営の動向を追い続けていた切嗣。
中でも、自分を追っていると思しき綺礼の動機が分からず、切嗣は苛立ちを募らせる。
一方、アイリとセイバーは、市内の屋敷に拠点を移していた。
日本風の家屋を興味津々で見て回るアイリ。
セイバーは、そんなアイリの振る舞いの中にふとした違和感を覚える。
今回から、中盤戦に突入って感じですね。聖杯問答から、アインツベルン城から新たな拠点に移動する物語です。そして、俄然スポットライトを浴びるのが言峰綺礼の存在でしょう。彼はアサシンを失い、名実共に聖杯戦争から脱落しました。それでも、切嗣が最も脅威に感じている存在が綺礼なのです。更に綺礼にはアーチャーが接触を計り、甘言を囁き誘導しています。果たして何も願望がない綺礼は、アーチャーに対してどう振舞うのか?また、今まで動かなかった時臣は、新たな展開を迎えた聖杯戦争にどう向かうのか?前半戦ラストに向けて物語が動き始める重要なストーリーになるでしょう。