今、経済産業省では日本のアニメを世界に発信すべく、新たなプロジェクトを始めるそうです。先日他界された今誠監督製作などの作品(千年女優・東京ゴッドファーザーズ)は、海外でも高い評価を受け、クールジャパン・ジャパニメーションなどと呼ばれています。しかし国内に目を向けてみると、アニメ界は危機に瀕していると言わざる終えません。具体的に言うと、ジブリなどの劇場版作品というより、現在放送されているテレビアニメの放送システムが崩壊しつつあるという事なのです。



 ではます、テレビアニメの放送システムについて紹介します。以前は各テレビ局とアニメ製作会社が、製作と放送に携わっていました。放送時間帯はゴールデンタイム、スポンサーも子供の視聴を見込んで全く関係のない異業種のスポンサーが集まって来ました。目的はアニメ作品を販売するのではなく、おもちゃ・グッズ・原作などを販売する為なのです。だから作品として選ばれるのは、ジャンプ・サンデー・マガジンなどの大手少年週刊誌とオリジナル作品が、人気を博していたのです。



 それが1995年、マイナーだった少年エース連載中の新世紀エヴァンゲリオンの登場により、コアなアニメファンが一気に増加しました。今までOVAでしかニーズを取り込めていなかった層に対するアニメとして始まったのが深夜アニメです。深夜アニメはテレビ局が主導で製作するのではなく、アニメ製作会社・DVD販売会社・出版社・広告代理店・玩具会社などが、それぞれ出資して作られた「製作委員会」が作られます。「桜高軽音部」「光坂高校演劇部」など名称はアニメによって様々ですが、基本的には製作委員会がメインとなります。



 そこからアニメ製作の現場にお金を分配して、テレビ局は放送枠を与える形となります。回収方法はBlu-Ray・DVDなどの販売やイベント収入となります。2005年まではこの方式が成功を収めコアな深夜アニメが次々と製作されました。ヒット作も生まれて、オタクブームも重なって隆盛を誇りました。だからアニメは「優良コンテンツ」と見込まれ、銀行や証券・投資会社などが、投資をしていったのです。ところがこのバブルは2005年をピークに崩壊への道を進んで行ったのです。


 

 その理由の1つは、家庭用DVD・Blu-Rayのレコーダーの普及です。画質が変わりなく録画だけ出来れば問題ない。そういう人が多くなり、購入するメリットがなくなったのです。もう1つは、アニメ化される作品の傾向が固まってしまった事です。つまりキーワードによって人括りにされて、模造品が多くなってしまったのです。「美少女」「ツンデレ」「美少年」など、どこかで観た事があるような作品ばかりです。起用される声優もファン目線であるのはいいのですが、なんだか代わり映えがしません。そうなるとどうしても飽きが出てしまうのです。



 このような要因が重なり、アニメ販売ビジネスは徐々に縮小化してしまいました。テレビ朝日は、以前深夜アニメにも力を入れていたテレビ局でした。しかし昨年を最後に撤退してしまい、逆に子供向け作品に力を入れる様になりました。いい意味での原点回帰であり、もう深夜アニメはビジネスにならないと烙印を押したのでしょう。地方はもともとアニメはビジネスにならないと考え、深夜アニメ放送は行っていません。



 そうなるとネット配信は、大きなビジネスチャンスになるのかもしれません。しかしネット配信は、動画サイトの存在がネックとなります。有料配信しなくても、動画サイトにアップする人間がいる限り、わざわざ有料配信を観る必要はありません。ビジネスとしては成立しませんが、放送されていない地方のアニメファンの取り込みに成功しました。まさに怪我の功名と言っても過言ではありませんが、全体的に観るとアニメ業界全体が縮小して、一般人よりはアニメオタクをメインにしていると言えるでしょう。



 以前から言っていますが、アニメはもう誰もが知っている作品が少なくなりました。だからターゲットをより深い存在であるアニメオタクメインに考えなければなりません。作品も有料ならエッチな映像を取り入れたりする姑息な方法がとられる様になりました。しかし売上を見るとDVD・Blu-Ray合わせても5000本が関の山です。大ヒットした「けいおん!!」「化物語」も今のアニメ業界の枠の中でしか売れておらず、けいおん!!は音楽的にヒットしても音楽番組やテレビで取り上げられる事は殆どありません。



 売れても小さな市場だけしか人気を集めない作品ばかりだと、いずれ業界は終わってしまいかねません。ではどうすればいいのか?私は2つの方法を提案したいと思います。1つ劇場公開作品を増やす事です。深夜アニメでブレイクした作品を劇場で公開する。今年の初頭多く見られた方法ですが、公開された映画館は少なかったですが、1館当たりの興行収入は普通のアニメ作品の倍以上を記録した涼宮ハルヒの消失やリリカルなのはなど、非常に成功したと思います。テレビでは表現できないハイクオリティーな映像や物語を劇場で公開する。既存のファンだけではなく、駅などのポスターやCMなどで興味を持った人もいるはず。だから今のアニメは、これだけ素晴らしいのだと訴えるにはまちがいなく大きなプラスになると考えます。



 もう1つは、地方を舞台にした作品の増加です。らき☆すたの大成功により、埼玉県の鷲宮町(現久喜市)は全国的な知名度を得ました。観光客は以前の何倍にもなり、聖地巡礼はビジネスとして大きな可能性を持っている事を証明しました。けいおん!!も滋賀県豊郷町にある豊郷小学校が、学園のモデルとなっており多くの観光客が集まっています。このような現象は、テレビで報道され、アニメが地方の町興しになっている事を全国に発信しています。B級グルメで町興しをしようとしている自治体と同様ですね。B級グルメ祭りは、盛り上がりますから。



 このように私は2つの事例をアニメ界を盛り上げる例として挙げましたが、どちらにも言えるのが、アニメを普段観ない人達に対する発信が必要だという事です。今までは内向きの発信が多かったですが、やっぱり内向きでは駄目だと思います。もっともっと、アニメを良さをアピールする場所を増やさなければなりません。ブログやツイッターなどが、現在活用されています。その他にやっぱり一番大きなメディア媒体であるテレビに取り上げられるよう、NHKを中心にこれからもアピールしていく必要があるでしょう。