①自分のマクロスFを創りました!河森監督インタビュー
09年11月に公開された劇場版アニメ「マクロスF(フロンティア) 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」で 約30万人動員の大ヒットを記録、10年には後編「マクロスF~サヨナラノツバサ~」の公開を控える 河森正治監督。84年の「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の公開から、戦争と歌、ロボットの戦いと 主人公の三角関係という要素を融合させた作品を生み出してきた。河森監督に「マクロス」の魅力を聞いた。
--「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の公開から25年がたちました。
映画館でやるのは「マクロスプラス」(95年)以来、十数年ぶりですが、「愛・おぼえていますか」からだともう四半世紀になるんですね。自分は毎回新しいことがやりたい方なので、テレビ版の「マクロスF」ではあまり口を出さずにいたんですが、本当に宇宙空間の広さやライブステージの華やかさを見せるとしたら 劇場版しかないと思っていました。
--劇場版で特に意識されたことなどは。
映画館ならではの“ライブ感覚”ですね。テレビシリーズを作っている時もすごくライブ感があって、オンエアの直前になって曲を差し替えたり、作り直したりもしました。現場は大変だったと思うんですけど、そういうライブ感覚というものがマクロスにはすごく似会うなと、改めて思ったんです。戦場でライブが行われているようなものを劇場版で描くことができたら、1本の映画として構成できるかなと思いました。
--アニメ版との違いは?
その辺りはとても悩みました。出来上がった物語が唯一の真実であるというとらえ方が多くの場合あるのですが、自分はとらえ方を変えて、(劇場版は)一つの“再現ドラマ”であると考えているんですね。分かりやすい言い方をするなら、戦国時代の織田信長や豊臣秀吉をモデルにした何百もの作品が、それぞれの解釈で存在していますが、テレビや映画というメディアや時間尺の違いの中で、さまざまな切り口があって、見せ方も違いますよね。そういった見せ方の切り口が変わるのは当然なのかなと思っています。
--その中でも、「三角関係」は物語の一つの軸ですか?
そうですね。いろいろと考えた上で、前編では友情以上、恋愛未満という部分を中心に据えたという感じです。自分の中では、劇場版で何らかの結論に持っていこうとは思っています。ただ、一方で三角関係を描くというのは、結論を出すということではないと考えるところもあるんですね。自分はゴール志向ではないので、答えを探求しつづけることが好きなんです。その時にどう迷って、どう感じたかという部分を描くというのが基本的なスタンスなので。ただ、それは(三角関係の結末をどうするか)テレビの時から言われたし、スタッフ内でも議論になるわけです。実際にさまざまな意見が出ていますね。
--10年公開予定の後編のサブタイトル「サヨナラノツバサ」の意味が気になりますね。
何に対する「サヨナラ」で「ツバサ」なのかは、いろいろと考えていただければと思います。実際にはトリプルミーニングくらいの要素があるんです。戦闘機のバルキリーが3段変形するように、一つの意味だけで解釈されてしまうと、あまり面白く見れないのではないかなあと思います。現実的な要素と神話的な要素と、それらを含めたタイトルになっていますね。
--ラストシーンは、監督ご自身の中に答えは出ていますか?
いろんなオプションを探している最中で、どのオプションも包括する全く新しいアイデアを描ければいいなと思っています。いろんな可能性を否定したくないというか、「かくあらねばならぬ」というものには したくないので。ただ、歌が一つの軸になるというのは間違いないと思います。取材で行ったボルネオのカリマンタン島のジャングルの夜明けと夕暮れの時に聞いた、歌の洪水がすさまじかったんですね。
牛から鳥から野生動物からが一斉に鳴き交わして、人間のオーケストラというのはここから生まれたんだと。そのインパクトは、アマゾンやマレー半島のジャングルでは体験することができなくて、いろいろな種類の情報が洪水のようにあふれる感じというのが好きになったんです。余計なものをすべて取り払った時にどうなるか、自分でもすごく気になる部分ですね。
毎日,jpより
アニメ版には河森監督は、総監督として後輩の菊池監督に作品製作を託しました。逆に劇場版は、河森監督がやりたい方向で「マクロスF」という作品が作られました。物語は1つ作品だけではなく、いろいろな切り口がある。そしてライブシーンは、劇場でなければ納得できる内容にならない。それが大きな理由だと答えています。私は最初は総集編になるのかと思っていましたけど、インタビューと内容を2度観て再認識しました。アニメでは描かれないシーンやシェリルを中心とする葛藤など非常に見ごたえがあって、何度か話題に出させてもらって「是非観にいって体験してほしいと訴えてきました。」
その後のインタビューだったので、非常に興味深く内容を吟味すると、河森監督はアルト・シェリル・ランカ、3人の微妙な関係に決着を付けるのが、次の「サヨナラノツバサ」の意味に含まれていると思いました。追求して答えを出すのが好きという監督の好みもありますけど、やっぱり最後に決めるのはアルトなんですよね。以前きまぐれオレンジロードという作品がありまして、主人公の春日恭介が、同級生の鮎川まどかと後輩の檜山ひかる2人のヒロインから慕われながら優柔不断振りを見せる展開がウリでした。しかし劇場版で製作された時に、三角関係に決着を付けるのが目的で作られました。
結局恭介が選んだのはまどかだった。自分の初恋の想いをずっと持ち続け、アタックするひかるに謝罪したシーンとぶん殴られるシーンは、涙なしでは観られなかったです。これはあくまでも一例ですけど、マクロスFでもアルトの思いをどう描くのか?シェリルとランカは、それにどう絡んでくるのか?秋公開ですので、物語の展開とともに非常に気になるところです。シェリル・ランカそれぞれにファンがいるわけですから、どちらに感情移入するとつらくなりますよね。それも覚悟しないと第2作は、つらくて観ることが出来ませんね。エンタメとして観るなら別ですが。
②新山の神はアニヲタだった!
今年もお正月のビックイベント箱根駅伝をずっとテレビで観戦していました。総合優勝を果たしたのは、2年連続東洋大学でした。立役者は、5区山登りで驚異的な区間新記録をマークした「新山の神」「山の神童」の異名を持つ2年生の柏原竜二選手。「もっとゆっくり走れ!」沿道から野次が飛んでも「ぶっちぎってやる。」と持ち前の負けん気を見せて、7位から一気に往路制覇を成し遂げたまさにヒーローです。(まあ他の大学からは、コースを元に戻せとクレームが入っていますけど。)
しかしそのあどけなさが残る素顔は、ちょっとオードリー若林に似ている20歳の青年です。実は今回注目したのは、柏原選手の素顔なのです。今日の日刊スポーツの記事に、休みの日は引きこもる。趣味は「アニメ・ゲーム・マンガ」と答えています。座右の銘「ピンチにスマイル、勝利をゲット!」もマンガ「最強!都立あおい坂高校野球部」の台詞を引用するほどです。まさかとは思いましたけど、最強ランナー=アニヲタの図式が完成しました。一体どんなアニメを観ているのか気になりますよね。「けいおん!」が好きなんて言ったら祭りになりますよ。
大学の陸上部員は、高校で実績を残したエリートも無名の選手もみんな部寮に入ります。けいおん!の男子禁制とは反対に女子禁制で、男だらけの寮生活。しかも春はトラックレース、夏は合宿、秋・冬は駅伝・ロードレースと1年中陸上漬けの毎日です。彼女も作る暇も無く、そうなるとアニメやゲームやマンガにはまる可能性は十分あるのです。去年箱根を走った明治大学OBの中村さんはガチでした。今回は最も注目を集めるランナーが、アニヲタという事が判明してインパクトは計り知れません。ただ本来ならアニヲタと判ればキモイ・痛いと叩かれるはず。しかし本業がとてつもなく凄いから叩かれない。何だかおいしいなって思いました。
他にも実は箱根エントリー選手にアニヲタの選手がいるのです。中央学院大学の1区を走った三浦隆稔選手は、好きなタレントが井上麻里奈。駒澤大学の1年生上野渉選手は、好きなタレントが釘宮理恵。明治大学の4区を走った安田昌倫選手は、好きなキャラクターがひだまりスケッチの宮子。学園選抜で出場した松蔭大学の梶原有高選手は、好きなアニメを涼宮ハルヒだと言っています。これはガイドブックなどに公言しているのでガチなネタです。1km3分を切るスピードで走るランナーにアニヲタがいるのは嬉しい限り。声優が好きなタレントと言うのは、こちらの人間である事は明白です。ここから導き出されるのは、公言しても非難されない理由が、他にきちんとやっている事があるからだと判ります。だからアニヲタだとばれても他にきちんとしていればいいと思った、箱根駅伝の意外なエピソードでした。