練習2割遊び8割。軽音部4人の結束が強くなった合宿が終わり2学期に突入した。学園祭が近づきそろそろ演奏曲を選定する時期になった。澪が危機感を募らせたかつて軽音部が演奏したテープ同様、律も軽音部のメンバーが映っている懐かしのアルバムを発見した。「面白いもの見っけたぞ!この前澪が見つけたダンボールの中に入ってたんだ。いつの時代のバンドだよって感じ。」DEATH DEVILと名付けられた派手な衣装の4人組ガールズパンクバンド。時代錯誤だと馬鹿にした律に対し「バンドといえばこういうイメージしかなかったあたしって。」バンドは皆パンクバンドだと思っていた唯は、律に取り合えず話を合わせ誤魔化した。実はDEATH DEVILでど派手な格好をしたギタリストは、容姿端麗で性格温厚な生徒・教師双方から人気ある女性音楽教師山中さわ子の青春時代の姿だった。



 澪も合流して律と打ち合わせをしている間「痛っ!指の皮剥けちった。」ギターを弾いていた唯の指の皮が剥けた。「見えない聞こえない!見えない聞こえない!」えぐい音や様子は見たくない澪。律が「豆が潰れた!」と嘘を付いても唯と律の姿を見ず耳も塞いだ。「りっちゃん絆創膏ある?」澪を怖がらせようとする律に絆創膏があるか尋ねた唯。しかし律にはその声は届かない。すると譜面台を取りに来たさわ子と鉢合わせになった。「あいたたた消毒沁みた!」職員室に連れて行かれた後唯は、さわ子から消毒液縫ってもらった。「指そのまま固定していてね。はいもういいわよ!ちょっと指見せて!まだまだね、この分だとまた皮剥けるわよ。でもね慣れていくと皮が硬くなっていくのよ。誰もが通る道ね。」さわ子はギタリストの経験を伝え別れを告げた。「机も奇麗だし良い先生だなあ。」さわ子の優しい姿に好感を持つ唯。しかし影で様子を窺っていた紬に気づいた後思わぬ問題が浮上した事を聞いた。(ムギちゃんはさわ子に憧れているなって直ぐ分かりました。百合ネタ投下って感じです。後友達の話というのは、99.9%自分の過去の経験というのが相場です。さわ子のパンクバンド時代は、北斗晶みたいな感じで今のスタイルが作っているなって理解しました。)



 「澪ちゃん言われて学園祭のステージを借りに行ったんだけど、軽音部はちゃんとしたクラブじゃないって言われて断られちゃった。」学園祭に出演したくてもクラブとして正式に認められておらず、紬は門前払いされた事実を教えた。「えっ部員が4人集まったら大丈夫じゃなかったの?」「部として認められてないって?」話を聞いた律は激高。のんびりやの唯も予想外の出来事に困惑していた。「部として認められてないのに音楽室勝手に使ってもいいのかな?」今まで好き放題使っていた音楽室の使用も良いのかどうか不安になり始めた。「今まで何も言われなかったから大丈夫だよきっと。それよりどういう理由なのか聞きに行かないと!」唯の不安を楽観論で切り返した律。唯と紬と3人で生徒会室へ出向き抗議した。そこで出会ったのは、唯の親友和だった。「流石和ちゃんだよ。」感心しっ放しの唯の態度に「本当にお前ら幼馴染みなのか?」全く性格も頭脳も違う2人が、本当に幼馴染みなのかどうか律には、変な懐疑心が芽生え始めた。(今まで部活として認められてないなんてそれに気付かないのってやっぱり変だなって思ってました。それにこんな好き放題音楽室を使い、お茶まで持参して毎日のようにお茶会やるなんて普通じゃありえない。)



 求めに応じ和が、軽音部が部活リストに掲載されているかどうか調べ始めた。「あれないわね?部活申請用紙出てないんじゃないの?」律の主張する「弱小部を潰す生徒会の陰謀」が原因ではない。和が指摘したのは、部活申請用紙の提出漏れだった。「そんな話は聞いてないぞ!」自信満々に聞いてないと主張した律。「聞いているだろうが!」どす黒いオーラを漂わせ避難するのは立ち直った澪。実は春に「部長」を買って出た律が書くはずだった申請用紙。自分が部長だという態度を見せつけようとした矢先「パウンドケーキ持って来たんだけど。」ケーキを持参したという紬の言葉の誘惑に負けてしまった。「ちょっと律用紙は?」注意する澪を尻目に「大丈夫だって!食べたらすぐ書くって!」にこにこ顔でケーキを食べに向かった律。言葉では後で書くと言ったが、申請用紙は既に机の中のゴミとなっていた。「やっぱりお前のせいか!」自分勝手な律の頬を抓りながら咎める澪。そのまま口論に発展したが、グダグダな軽音部の様子を見た和。「ねえ軽音部って唯にぴったりね!」皮肉交じりに呆れながら唯に感想を洩らした。(律はやっぱりやってしまうキャラなんだなあ。ケーキに釣られてしまって大事なことを忘れてしまった。これじゃあ澪が怒るのも無理は無いです。でもそこがりっちゃんの魅力なんですが、本当に軽音学部ってのんびり・まったり・グダグダで唯にぴったりですね。)



 「しょうがないわね、私が何とかしてあげるわ。あれあなた達顧問は?」仕方ないとばかりに和が、申請用紙を取り出し軽音部の名前と部員数を書いた後、顧問の教師がいない事に気付いた。一難去ってまた一難!今度は顧問の教師を探す必要が増えた軽音部。そこで白羽の矢を立てたのは、音楽教師で生徒・教師双方から人気のあるさわ子だった。早速密着マークしてドキュメンタリー風ナレーションを付けおだてながら近づいた。「先生、軽音部の顧問になって下さい!」「先生しか頼める人がいないんです。」顧問になって欲しい澪・律・紬が頭を下げた。「ごめんなさいなってあげたいのは山々だけど、私吹奏楽部の顧問しているから。掛け持ちはちょっと・・・」掛け持ちは出来ないと断ろうとしたさわ子。律達から名義だけ貸して欲しいと無理矢理頼まれ更に困惑した。そんな時今まで喋らなかった唯が動いた。「先生、ここの学校の卒業生ですよね?さっき昔の軽音部のアルバム見ていたのですけど。」以前の軽音部にさわ子が映っていた事実を暗に告げたのだ。するとさわ子の態度が一変!おしとやかキャラを根底から覆す、過去の忌まわしい記録を封印すべく超人的な身体能力で音楽室に走った。(見られてはならない悪魔の子。さわ子の例えが面白いです。いやはや笑っちゃいました。キャラを隠しているのだから、キレキレパンクバンド時代の写真はありえない。逆に言えば律は既にさわ子の過去を知っていたから、切り札として使おうとした。ここの心理戦とアホみたいな身体能力のコラボがよかったです。)



 そして音楽室に着いてアルバムを見たが、自分の写真がはがされていた。「やっぱり先生なんですね。」「じゃあこのテープの声もですか?」律と唯はさわ子の過去を暴いた。今の自分とは正反対のキャラを突き付けられ恥ずかしがった。「ねえ先生弾いて弾いて!」唯がギタリストだったと気付き、無理矢理ギターを持たされるとさわ子の態度が豹変。「くっくっくしょうがねえなあ!」目付きも釣り上がり「早弾き」「タッピング」「歯ギター(?)」次々とおしとやかキャラとは思えないギターテクニックを披露した。「おめえら音楽室好きに使いすぎなんだよ。大体なあああ!」ペルソナの仮面は外れ、本性むき出しで唯達に文句をぶちまけたさわ子。8年前16歳の春初恋の男の子に失恋した時「もっとワイルドの女の子が好き!」というフラレ文句を信じた事が、ギターを始めたきっかけだった。その後パンクバンド「DEATH DEVIL」を結成。最初はセクシー風の格好だったが、徐々にエスカレートして最後は原型を止めないほどの姿になった。「付きあってやっても良いんだぜ!」彼好みのワイルドさわ子になり切り再度告白したが、今度はやりすぎという理由でドン引きされ恋は実らなかった。(男が原因でパンクバンドを始めたとはまさかねえ。しかし好きだからギターを続けてきたのも事実。自分のキャラに合わなくて無理した結果が、反動となっておしとやかキャラで行こうと決めたのかもしれません。さわ子はまだ若いしこれからなんだからぶっちゃけキャラでも良いと思うけどなあ。)



 「先生顔上げてください。ばらされたくなかったら顧問やって下さい。」泣き落としで誤魔化せるはずだったさわ子の目論見は外れ、律は写真の暴露をしないことを条件に顧問に就任するよう脅迫した。結局は過去をばらされるよりも顧問就任を選んださわ子。早速軽音部のオリジナルの楽曲を聴いてみた。「うーん前ノリ・後ノリ・リズムセクションのずれとか色々気になるけど、まずあなた達ヴォーカルはいないの?じゃあ歌詞もまだなの?」曲も気になる点がある。それ以上にさわ子が指摘したのは、ヴォーカルがいない事と歌詞が出来ていない事だった。こんな状況で学園祭のステージに立つ。4人の甘い考えに気付き「音楽室占領して今まで何やってたの?ここはお茶を飲む場所じゃないのよ。」今まで見逃して来た態度にさわ子の怒りが爆発した。「先生ケーキはいかがですか?」ビビった4人の中で鶫が、ケーキで買収しようとした。「戴きます!」普通なら断るはずだが、さわ子はきっちりと貰った。「戴くんかい!」怒られていた3人も思わず突っ込まずにはいられなかった。(ムギちゃんとさわちゃんで百合フラグだって思ってました。そりゃあれだけ熱い視線を送るのだから。しかしムギちゃんは、百合状況の美しさに憧れている女の子だったとは意外でした。更に澪ちゃんのクールな一面からは想像できない、乙女全開の歌詞に思わず吹いてしまいました。)



 翌日一晩費やし澪が歌詞を書いてきた。自信無さそうにノートを隠すが、他の3人は見たくてしょうがない。ただ様子を見ていたさわ子のイライラがどんどん増した。「早くせんかーい!」ついにキレてノートを強奪して詞を読んだ。「君を見ているといつもハートがDOKI☆DOKI。揺れる思いはマシュマロみたいふわふわ!」乙女全開の歌詞を読み「痛さと恥ずかしさ」だけがさわ子と律の中に残った。「凄くいい!私は凄く好きだよ。」へこんだ澪を励ます唯の素直な言葉。ただ紬はまたもその美しい女同士の関係にうっとりしていた。「さわちゃんは無いと思うよね?」同じくありえないと拒否反応を示したさわ子に同調を求めた律。一度は同調したさわ子だが、ここでキャピキャピした曲が好きだと言えば好感度が上がると思い「私もこの曲好きかも!」同年代のこりん星から来たアイドル並のぶりっ子な姿で評価した。(さわ子最高!岡崎・国崎最高と同じ京アニお得意の手法だなって思いました。ぶりっ子していいのは、二十歳までではないかと。さわちゃんは、永遠の17歳じゃないからやっていてかなりきつかった。もうキャラが完全崩壊している。)



 最後まで反対していた律も歌詞を認め、次はヴォーカル選びが始まった。「私こんな恥ずかしい歌詞歌えないよ。」詞を書いた張本人澪は直ぐに降りた。一方で唯は目を輝かせ、紬ばかり注目する律に必死のアピールをした。「じゃあ唯やってみる?」どうしようもなく最後の最後で唯が指名された。最初は白々しい態度を取り本当にスルーされようとしたが、何とか認められてギターを弾きながらのヴォーカルを担当することになった。しかし唯は2つの行動を同時にこなすことが出来ない不器用な性格。歌ったと思えばギターを弾かず。ギターを弾いたと思えば歌を歌わない本末転倒の有様だった。「仕方ないわね先生が特訓してあげる。じゃあ振り落とされないように付いて来なさいよ。」このままではまずいので、さわ子がコーチになると宣言。2人は学園祭登録までの間必死に練習を重ねた。「じゃあヴォーカルが唯で、曲名がふあふあタイムね。」登録最終日には、和が音楽室を訪れ準備は整った。(さわちゃんとムギちゃんの百合もいいけど、さわちゃん単独の同人誌も見てみたい。百合でそれに憧れるムギちゃんが乱入するなんて面白そうだ。けいおんは同人音楽と同人誌どちらにも対応できそうです。)



 「待たせたわね!完璧よ。」親指を上げ自信満々のさわ子が登場。その横には今までとは別人の雰囲気を持つ唯。特訓の成果はギターテクニックでも一目瞭然。十分人前で演奏出来るレベルまで上がっていた。しかし歌い過ぎで喉が枯れて歌えなくなってしまった。「変更するなら今日中よ。」登録の唯が参加出来ないとなると、変更は今日だけだと教えた和。「そうね澪ちゃんなら歌詞覚えているわよね。」「そうだよ澪なら大丈夫だよ。」結局視線が向けられたのは、ベース担当で恥ずかしがりやの澪。学園祭まで後3日、ステージに立って見事軽音部としてのデビューを果たせるのか?全ては澪の双肩に掛かっていた。(バイトのお話の時、とにかく人前がダメだと言ってたし普通なら無理でしょう。しかしここできちんとあの恥ずかしい歌詞を抜群のヴォーカルで歌ってくれればこちらとしては文句ありません。またポニキャさんは良い商売になりそうです。)