青木をショートゴロに切って取り、挨拶代わりの実力を見せ付けた秋生。続く2番は、日本一埼玉西武のチャンスゲッター中島。「へっ中島なら軽く三振だぜ。」力が入る初球2球目は、明らかに外れボール。調子が悪いとばかりに腕を回し、気を取り直した3球目。置きに行った球を見逃さず思いっきり引っ張った中島。打球は左中間に飛びツーベースヒット。侍ジャパンのベンチでは、原監督が手を叩き喜んだ。そして3番は、日本を代表する安打製造機イチロー登場。「イチロー!イチロー!」スタンドから割れんばかりのイチローコール。「こりゃ俺達悪役だな!でもな俺もイチローと勝負出来るんだ。アウトにして黙らせてやるぜ。」



 「タイム!おっさん気が流行りすぎだぜ。打たれても俺達が守るから、安心して投げてくれ。」グッドタイミングで声を掛けた朋也。気を取り直して、いつもの振り子打法のイチローに投げ込んだ渾身のまっすぐ。「ストライク!」140kmの急速と共にコースギリギリに決まった。どうだとばかりに仁王立ちの秋生。しかしイチローは表情を変えず、冷静に見極めていた。そして続く2球目、内角に食い込むスライダーだった。これを絶妙のバットコントロールで、ライトに引っ張ったイチローの打球。「マジかよ?」思わず呟く秋生の言う通り、打球はライト前に飛んだ。2塁から中島がホームに向かって突っ込んで来た。「陽平早くしろ!」セカンドの杏が叫ぶ中「やけくそだ!」全力でホームに向かって投げた陽平の球は、杏が中継に入りバックホーム。「アウト!」アンパイアの遠くまで通る声が、東京ドームに響きタッチアウト。見事な連係プレーに「素人」とバカにしていた観客はあっけにとられた。



 「よっしゃ春原・杏!」侍ジャパンに目にもの見せた2人のプレー。朋也は思わず手を叩き喜びを爆発させた。しかし2アウトランナー1塁で、4番バッターは繋ぐ野球の象徴。北海道日本ハムの稲葉。更にランナーは快速のイチローという場面。甘いボールを投げたら打たれる状況。「打ち取ればいいんだろ。」秋生にはピンチを切り抜けた自信と余裕があった。ファール・ファールと粘られた8球目見事三振にしとめ0に抑えた。2回は、松坂・秋生のナイスピッチングで両チーム無得点で終了した。「おい最初は何だこれと思ったけど、意外といけるんじゃねえか。古河ベイカーズって。」「でもよ侍ジャパンは、東京ラウンド近いし負けたらヤバイだろう。」まだ2回だが、舐めた試合だと思っていた観客も思わぬ展開に驚きを抱き始めていた。