学園祭が終わり妹になってから1年が経った記念日、祥子から妹を作るように命じられた祐巳。どうやって妹を作れば良いのか悩んでいた。それは同じ山百合会メンバーの由乃も同じだった。令の姉だった鳥居江利子に対し、令の剣道の対校試合までに妹を紹介すると約束をしたからだ。学園祭が終わりタイムリミットが迫る中、引くに引けなくなった由乃。妹オーディションを開催して選ぶと提案した。その提案を聞き、祐巳にも参加を促した祥子。自分の意志を無視される形となり、逆に祐巳は茶話会形式を提案した。
祥子も提案に同調して、茶話会開催が決定した。早速リリアンかわら版に詳細記事が掲載され、参加者を募集する事になった。しかし祐巳の妹候補としては、可南子と瞳子の2人が噂になっていた。特に瞳子は頻繁に腹の館に出入りしていた事を理由に、生徒達からやっかみの陰口を叩かれて風当たりが強くなっていた。そんな瞳子を心配して乃梨子は、茶話会参加を促そうと
声を掛けた。それでも参加する意志を示さなかった瞳子。すると祥子まで参加しない理由を聞こうとわざわざやって来た。昔の自分を重ね合わせ同じ行動を取り、意地を張る瞳子が似ていると感じており心配になった祥子。今の瞳子には、ただのおせっかいぐらいにしか感じなかった行動が、いずれ理解する日が来ると参加用紙を破った乃梨子は感じていた。
そして1年生15人2年生12人合計27名の生徒が、参加する予定の茶話会前日を迎えた。「私妹が出来るのが楽しみなんだ。令ちゃんは、江利子様の妹になれて嬉しかったでしょう?私ねかなり嫉妬したよ。でも今なら分かる気がするんだ令ちゃんの気持ち。」一緒に勉強しながら
妹を作る喜びと、姉と知り合えて嬉しかった令の気持ちを理解した事を話した由乃。「じゃあ今度は私に由乃と由乃の妹を取り合う楽しみが出来るのかな?」今度は自分が取り合う番になると
冗談半分で言った令。抱きつきながら次の剣道の試合も負けないで欲しいとエールを送った。本当の姉妹のように2人の絆は、固く結ばれていた。翌日クッキーや紅茶をテーブルに置き、茶話会が開催された。(令と由乃は本当に昔から姉妹同然だったから、甘える由乃の姿は板に付きます。由乃を巡って令と妹のバトルがあったら面白そうです。しかし祐巳は本当に人気があるんだなって思いました。親しみやすさと話しやすさでしょうね。人間は第一印象大切ですから。)
由乃が開会の挨拶をすると、参加者から拍手が起きた。「自己紹介をします。私は島津由乃です。去年の今頃心臓の手術をして、虚弱なイメージをすっかり拭い去りました。趣味はスポーツ観戦、好きな作家は池波正太郎。1日も早く妹を持ちたいと思っています。」自分の事をありのままに紹介して、妹を希望する意志を伝えた由乃。次は祐巳の番になったが、一年生からの歓声が上がり、一身に視線が注がれた。「2年松組福沢祐巳です。苦手・得意科目はありません。平均点が売りです。姉は小笠原祥子おしまい!」何の脈絡も無い自己紹介だったが、1年生達から拍手が沸きあがった。「これは祐巳さん目当てが多いか。こらそこの1年生、あからさまに祐巳さんばかり見てるんじゃないわよ。」祐巳目当ての1年生の多さと、ちらちら見ている様子に腹を立てる由乃。そんな状況で参加者の自己紹介が続いていった。(祐巳って改めて凄い人気なんだなあと実感しました。今まで注目を集めていた由乃が、嫉妬するほどなのですから。由乃は
妹にしたいNO1だったんですよ。)
「1年菊組内藤笙子です。中等部の頃から山百合会に憧れてました。こうしてお近づきになれただけでも嬉しいです。よろしくお願いします。」どちらでも良いから妹にして欲しい。非常識な
参加届けを出した内藤笙子が挨拶した。「どちらでもいいと言われた由乃ちゃんは、あなたに声を掛けてあげないのだ。」茶話会中目ぼしい1年生が見つからない由乃。それでも笙子の事が気に入らず、声を掛けようとしなかった。一方祐巳の周りには、多くの1年生が集まっていた。「祐巳様はどのような妹をお望みなのですか?」「ご自分のように親しみやすい可愛いタイプですか?」「ロサ・キネンシス(祥子)みたいに気位高くお美しいタイプ?」ここぞとばかりに質問攻勢を仕掛ける1年生。いつも明るい祐巳も質問攻めに困惑しっ放し。そこに由乃が乱入して、積極的にコミュニケーションを取り始めた。(焦っている由乃ですけど、目ぼしい相手が居ません。笙子に声を掛けるのは、私でも同じ立場ならいやですね。そこまでして姉を作りたい意図がわかりませんし、山百合会と関係を持ちたいからだけなんでしょうか?)
「ちょっと失礼しますね!」質問攻めに晒され、流石に間を置きたくなった祐巳。ブーイングが
飛ぶ中1人薔薇の館の外に出た。そこには1人たたずんでいた笙子が立っていた。「写真部のパネルの薔薇様やブウトゥンの皆様が輝いていて、そのお姿が凄く羨ましくて。私もあの写真の中に入りたいと心から思ったんです。」山百合会への憧れが、パネルを見た事で更に強くなった笙子。自分もどちらかの妹になって、山百合会のメンバーになりたい気持ちを明かした。「だから私でも由乃さんでも、どちらの妹でもよかった?笙子ちゃんは勘違いしていると思う。生徒会の仕事だけに楽しい事があるわけじゃない。どこに居たって何をしたって、輝いている人は沢山居るんだよ。笙子ちゃんが、ただ写真の中で輝きたいなら、ブウトゥンの妹にならなくても良いと思う。そううじゃないかな?」自分は輝きたい場所を求めている。しかしそれは決して山百合会の中とは限らない。輝ける場所はどこでもあるし、輝く為に妹になる必要はない。話を聞いて祐巳は、優しく笙子に語りかけた。それは本当に心から姉と思ってくれる人が、妹になって欲しい願いが込められていた。(そうですね。スールであれ人間関係であれ、下心がある関係は長続きはしません。
本当に互いを必要として認め合うようにならないと駄目なんです。だから笙子は、別の願いがあるから来た事を祐巳に告白したから、振られてしまったのだと思います。)
週明けの月曜日茶話会の結果が、祥子と令に報告された。「その場でスールになったのは2組。もう少しお互いを知ってからという方もいました。残念ながら私達は入ってません。」結局祐巳と由乃には妹となる1年生は現れなかった。状況は変わらなかったが、妹になりたいと志願した1年生(祐巳3人・由乃2人)が日替わりで来る事になった。「それでその娘はどこに?」見渡す祥子だったが、初日から遅刻して来た1年生。しかも理由が髪の毛が整わなかったという、身勝手な理由。当然祥子の逆鱗に触れて失格!火曜日はサインを求めるだけ。水曜日はクラスメイトに自慢したいだけ。木曜日は、由乃に注意されて泣き出し出て行った。ついに金曜日には手伝いに来なくなり、結局妹候補は誰も居なくなった。「どうしよう明日は交流試合。江利子様に妹を紹介する日。令ちゃんを挟んで向こうとこっち、あの人は私の永遠のライバルなんだもん。売られた喧嘩は買うのよ。誤る事だけは嫌!ほら御覧なさいと勝ち誇られるのがオチよ。」翌日の交流試合の土曜日は、妹を紹介する約束の日。どうしても令を巡ってライバル意識を持つ由乃は
江利子に負けを認めたくなかった。それでも忙しいから約束を忘れているのでは?という希望的な観測もしていた。(やっぱりミーハー揃いでしたから。そんな簡単に恋人や友人やスールなんて出来る訳無いです。相手が本当に自分を信頼しているかどうか?互いに惹かれ合っているのかそれが重要なんです。)
しかし由乃の淡い期待は裏切られた。「私もまだ紹介されていないんです。由乃さん江利子様に一番に紹介するって言ってましたから。」江利子を含め蓉子・聖3人の先代薔薇様が勢揃いで
試合会場に現れた。祐巳は何とかやり過ごそうと最もらしい事を言った。「誤魔化すのが上手くなったわね。お楽しみは長い方がお得だものね!」誤魔化していると言い当て、由乃の様子を
まるで見透かしているような江利子。当の本人は江利子の存在を見て頭を抱えた。そんな由乃を尻目に先代薔薇様は、妹は誰か会場内で探すゲームを始めた。真美を選んだ聖。乃梨子を選んだ蓉子。瞳子か可南子のどちらかを選んだ江利子。それぞれの選ぶ目は、山百合会に所属するメンバーと一致していた。「あの2人何時の間に仲良くなったのかしら?」仲良く談笑する瞳子と可南子の姿に驚く祐巳。妹の事を心配する可南子とは対照的に、瞳子は祐巳の事に無関心を決め込んでいた。「それじゃあ江利子が、選ぶとしたら誰がいい?この体育館の中で!」全部外れだったから、江利子が妹と選ぶならという質問をした聖。「私あの娘!」指さす先には、自分とそっくりな女性とが座っていた。(妹探しゲームをしているという事は、やっぱり3人は由乃に妹が
居ないと思ってますね。流石年の功って奴でしょうか?しかしプライドだけは一人前の由乃が素直に謝るはずがないです。意地を張って失敗しなければ良いのですが。)
いよいよ対校試合の時間が近づいて来た。「よし決めた!試合が終わったらこの会場から逃げる。江利子様が諦めて帰るまで、どこかに隠れていよう。」素直に謝る事は、自分の敗北を意味する。妹の仮病も考えたが、最終的には逃げて隠れる選択をした由乃。応援する太仲女子とリリアンの対校試合は、1勝3敗でリリアンの敗北が決まり、いよいよ大将の令が登場した。一進一退の攻防の末、由乃の声援もあり令が面を決めて一矢を報いた。「お先ごめん見逃して!」試合後泣きじゃくる選手を励ます令に断り、急いで会場から逃げようとした由乃。しかし既に玄関前に移動した後祐巳達を見て方向転換した。「由乃ちゃん、何を急いでいるのかしら?まさか妹が出来なくて、私から逃げるなんて事ないわよね。」すっぽんの異名を持つ江利子の目は、由乃を捉え後から追い掛けて来た。「まあ江利子様は、私を見くびっておいでですか?」挑発に乗らずあくまでも強気の由乃。しかしロザリオの質問をした時、由乃の返答の矛盾に気付き更なる追求を開始した江利子。「それで肝心の妹はどこに居るのかしら?」ついに妹を紹介しろと言い出した。
(すっぽんの江利子恐るべし!でも負けたくないから、由乃も意地になって必死に抵抗します。そのコミカルなシーンが面白いです。それでもやっぱり江利子が一枚上手だなあ。)
「妹はお手洗いにちょっと見てきます。」ばれると思いトイレに逃げ込もうとした由乃。トイレに入る瞬間女生徒と正面衝突した。「うあ奇麗なロザリオ!」思わずロザリオを拾い見惚れる女生徒。由乃に返そうとした時、ちょうと追いかけて来た江利子と鉢合わせになった。「ラッキーリリアンだ!話を合わせて!」江利子が妹にしたいと思った女生徒が、目の前に現れ驚くなか、由乃の言葉に合わせて「妹」として紹介された有馬奈々。令のライバル田中姉妹の3番目で、有馬家に養子として向かられていた。「そう奈々ちゃんね!覚えておきましょう。それで私の前で儀式を
してくれるんじゃないの?」とりあえず納得した後儀式を要求した江利子。「申し訳ありません。
私の事情でロザリオをお受けできないんです。」誤魔化そうとして突っ込まれた由乃を見かねて
自分の事情だと誤魔化した奈々。「まあこれぐらいにしておきましょう。菜々ちゃんトレーナーの中を直しなさい。身だしなみはきちんとね!」江利子は奈々が中等部の生徒だと見抜いていた。
それでも「妹」として紹介した由乃のメンツを立てた。(奈々ちゃんの機転の効いた言動で何とかしのげましたけど、江利子様は一枚上手でした。このまま本当にスールになって行くと思います。残る祐巳には難題が残り大変ですけど、やっぱりあの縦ロールが大本命ですよ。)