ミローネ商会が王家と特権獲得交渉が終了するまで、何とかホロと一緒にメディオ商会の
追っ手から逃げようと考えたロレンス。ミローネ商会の前面バックアップもあり、無事ホロ奪還に
成功。メディオ商会にはエーレンドット伯爵が、その背後に存在している事実をマールハイトに
伝える事を協力者に伝え、薄暗い地下水路を通りながら追っ手からの逃走劇が始まった。
手を繋ぎながら出口を探す2人。その時ちょっとした空気の変化を感じたホロ。「この上は市場
の近くだ。だからじゃないのか?」ロレンスはそう考えた。頭巾を取り集中力を高め、周囲の音を
確認するホロは、メディオ商会の追っ手の足音を感じ、必死に一本道を走った。しかしこのまま
逃げても、犬を放たれたので追いつかれるのは時間の問題。「まあ主は耳を塞いでおれ!」そう
告げたホロは、深呼吸してから「ワォーン!」と狼の遠吠えした。
ロレンスが耳を塞いでも強烈な音の衝撃は、放たれた犬に恐怖を与え、すっかり大人しくなりまた追っ手の元に戻って行った。(もの凄い破壊力ですね。ジャイアンとガチで戦ってもいける
んじゃ無いですか?)「後でりんご食べたいなあ。」全力で吠えたホロも弱音を吐くが、ロレンスは後で食べさせると約束した。
何とか危機を脱しまた走り始める2人。その時「ミローネ商会はお前らを売ったぞ!逃げても
無駄だ。」光が差す方向から大きな声が聞こえて来た。「売られたらしいが!」息を整えながら
状況を確認したホロ。一方「さぞ高値で、売れたんだろうな。なあに挨拶代わりのはったりさ。」
はったりだと決め付けたロレンス。そのまま元来た道を戻ろうとしたが、背後からメディオ
商会の追っ手に見つかってしまった。前方には地上から来た追っ手がおり、横穴から方角を
変えながら必死に逃走する2人!
「いかん!」ホロが叫んだ時、目の前にナイフを持った男がいきなり現れ切り付けて来た。寸前で剣先を避け、男の腕にホロが噛み付き、ロレンスが強烈なパンチを見舞った。男は水路に
落ち最初の危機を脱したかに思えた。しかし暗闇で全く気付かない背後から、別の男がロレンスの背中を一突き!「ロレンス!」悲鳴のような叫び声がこだました。それでも力を振り絞り
男を叩きのめし、血を流しながら出口に向かって歩み始めた。(ロレンスって結構強くてビックリ
しました。こういう主人公って弱いのが相場だと思ったから)
しばらくすると刺された傷が原因で意識が朦朧とし、横になって眠ってしまったロレンス。中々目を覚まさずホロが必死になって、声を掛けようやく気が付いた。「もう直ぐなんじゃ。光の匂いがする。地上に通じる道があるっていう事じゃ!」近くに地上に出られる場所があると感じたホロは、必死に訴えていたのだ。「ああそうだったなあ。」とりあえず話を合わせ、心配させない
様に取り繕うロレンスは、また再び地上に向かって歩き始めた。
そして地上の光が見え辿り着いた場所は、ハシゴの無い井戸の真下だった。状況を完全に
把握しておらず、謝罪するホロ。そんな時メディオ商会の追っ手に見つかってしまった。「なあに
まだ行けるさ!」身を守るべくナイフを持ち出すロレンスが見たのは、ホロを拉致しようと計画
した張本人クロエだった。「報告された人相でまさかとは思ったけど、本当にあなただった
とは。」ロレンスがホロと一緒にいる事実に驚くクロエ。「メディオ商会の後ろにいるのは、
エーレンドット伯爵だ。麦の大産地ならば、麦の取引の際に、好きな銀貨で代金を支払わせる事が出来る。麦に関する関税の撤廃は、メディオ商会と伯爵それに村の人間全員にとって
天恵だ!お前なら麦の取引に来る商人達に面識がある。村長も取引を任せている。そして麦のの取引は、収穫祭の後が最も多い。」ロレンスは一連の麦の取引の裏側を暴露した。
「そいつこっちに渡して!そいつを教会に渡して、古い時代と決別するの。そいつを渡せば
ミローネ商会を潰す事が出来る。関税が撤廃できれば、ウチの村の麦は、莫大な利益を
生むわ。その麦を扱う商人だって同じ事よ。2人でこの街にお店を出しましょうよ。」クロエはホロを差し出せば、優先的にパスロエ村の麦の買い付けを認め、パッツィオに店を出そうという提案をロレンスに申し出た。(関税を撤廃した麦をクロエが買い付ければ、莫大な利益が出る裏取引になります。それは美味しい話ですよね。)
「そうだなずっと夢を叶えたいと思っていた。しかし約束を守る事こそ、良き商人の
第一歩だ!」夢である出店よりも、ホロを故郷の北に連れて行く、約束を優先したロレンスは、クロエの申し出を断った。最初は落ち込んだが、後にロレンスの意図を知り暗かった表情が、
驚きに変わったホロ。(いよロレンスさんは、男の中の男だ!約束をちゃんと守るとは)
「男は殺していいわ。女は生け捕りにしなさい!」申し出を断られたクロエは、冷淡に
メディオ商会の追っ手に命令した。「来るなら来い!」1人でも戦うつもりのロレンスを、いきなり
突き飛ばしたホロ。「少し痛むけど我慢してくれんせ。」傷ついているロレンスの左腕に噛み付き
血を吸い始めた。「もう見ないでくりゃれ!」目つきが変わった哀願するホロは、本来の姿である巨大な狼の姿に戻った。(うああロレンスを守る為に、狼に戻るとは・・・・・・)
恐怖に慄くクロエと追っ手は、必死に逃げた。しかし狼になったホロの走るスピードが速く
次々に弾き飛ばれて行った。そして1人残ったクロエの前に現れ「神様はいつも理不尽な事
ばかり。」涙を流しながら、クロエは現状を嘆いた。しかしホロが取った行動が、獣とは異なり
意志のある狼そのものだった。
まずクロエは恐怖で気絶した後、静かに地面に寝かせロレンスの着ていた服を破り身体にかけた。次にロレンスが持っていた巾着袋を取り、何も言わずに去ろうとしたのだ。その様子を
見て「北の森まで追いかけてやる!」強い口調で怒鳴るロレンスは、力尽きて倒れてしまった。
(ロレンスはツンデレじゃないかと思うのですが、どうでしょうかねえ)
気付いた時には、ミローネ商会のベッドのある部屋で眠っていた。左腕にも包帯が巻かれ
目の前にはマールハイトが居て、危険な目に遭わせた事を謝罪。そしてロレンスがミローネ
商会にやって来るまでの状況を説明した。ホロはマールハイトを連れてくるまで、ロレンスの
傍に居た。マールハイトがやって来ると、ミローネ商会まで運び、行き先を告げずそのまま
立ち去ったのだ。(狼の姿を見られ、これ以上迷惑を掛ける訳には行かないという事でしょう!)
「取引はどうなりました?」質問するロレンスは、メディオが一番欲しがる特権を引き出せた
という報告を受けた。トレニー王が回収した銀貨は、30万枚以上。それを35万枚相当の
貨幣をミローネ商会が得たのだ。その中から利益として得られた五分が、ロレンスの分け前で
その詳細の書かれた用紙を渡すマールハイト。「これは!」驚くロレンスが見た数字は、たった
銀貨120枚相当。貨幣の運搬料・関税・契約手数料など莫大な費用が必要だったのだ。「我々としても予想出来ない結果でした。残念に思います。」マールハイトは、今回の取引が、予想外に結果になりロレンスの心中を察した。
「ですが予想外の出来事というのは、良い方向にも起こります。」諦め顔だったロレンスに
マールハイトが渡した紙には、意外な内容が書かれてあった。それはメディオ商会が、特権を
買い取る為に提示した金額。彼らは確実に儲かる商売がしたかったのだ。これでロレンスに更なる分け前が入る。「胡椒!冬は肉料理が、増えますから。高値で売れるはず!」更なる
儲けの為に、胡椒を受け取ろうとしたのだ。(ここでマールハイトが、戒めの為に教会での
宗教劇を紹介します。また儲けようとすると痛い目に遭うという内容の話です。2匹目のドジョウ
を求めると上手く行かない物ですよね。)
話が済みこれから良好な関係を築く事を願い、握手を求めるマールハイト。ロレンスも呼応
して互いに握手をした。その後ロレンス宛に請求書が届いた。それには、見覚えが無い取引が
書かれてあり、誰が買ったのか考えると、とっさに上半身裸のままミローネ商会を飛び出した。
請求書にはベッコウの櫛や旅行用の靴やりんごなどが書かれてあり、それはホロが買った
のだと気付いたロレンスは必死に走った。すると馬車にりんご一杯詰め込んだ、ホロがちゃっかりと座っていた。互いに差し出した手を握ると「狼と香辛料か!」マールハイトが一言呟いた。
去ろうとしたホロは、またロレンスと旅をする事になった。こうしてパッツィオでの話は終わり
次回から新たな展開を迎えます。正直取引の詳細などが、もっと説明されれば判り易かったと
思いますが、ロレンスとホロの絆がよりいっそう強くなって良かったと思います。 原作は
読んでおいた方が、いいかもしれませんね。ロレンスなら北まで本当に請求書持って、追い
掛けてくると思います。