第5話 『人間鳥』
このお話の時には、ブラックジャックの連載が決定したんじゃないかなーと思わせる伏線が張られ始めますなー。
ただただ謎の外科医だったブラックジャック先生に、過去の肉付けがされていく訳であります。
お顔の傷とかね。過去を詮索されることを極端に嫌がる先生とかね。母親への意味深長な想いとかね。
謎が謎を呼んでいた天才外科医に、はじめてスポットライトが当るお話と言ってもいいと思います。
手塚先生はブラックジャック先生の設定を煮詰めるのに時間を費やして、もしやお話の筋を考える時間が相当なかったのではないのかしらんと思わせるほど、この「人間鳥」というお話は、いままでの4作とは違って、ずいぶんと突拍子のないというか、辻褄が大変なことに!というか、リアルな世界を描いていたブラックジャックという作品にしては、えらいことファンタジック過ぎやしませんか先生…、という内容になっています。
だって人間を鳥さんに改造して、山に帰らせちゃうんだぜ…。
もうすでに病気だとか手術だとかの範疇越えてねーかコレ…。
動物ものは、手塚先生の得意分野ではあるけれど、いかんせんお話の筋が強引で、とにかくブラックジャック先生という人の伏線張りだけの用を成しているよーに、あたしは感じてしまうんだなー。ひねくれてるのかなあ。
それでも手塚漫画のキラキラした真髄はそこかしこに見られるのであります。
足の悪い少女、イカルちゃんが言うわけです。
『人間ってつめたいのよ、そしてとっても不自由だわ』
イカルちゃんのこの言葉は、手塚漫画のなかに脈々と流れる人間観を、ちらりと垣間見せておりますニャ。
それでも手塚漫画は愛なんだよなあ。
なんだろう。すごいなあ、手塚先生って…。
火の鳥の復活編でも、レオナは人間になるよりロボットになることを望むんだよね。
人間が、人間から見た「人間」という枠を外れる時、もしくは外れたと感じる時、人ははじめて、人間という生き物を客観視するのかしらね…。
手塚漫画はあーんなに可愛らしい絵柄なのに、描いてるテーマは毎回ヘビィだと思うのですがどうでしょう。
ってだれに聞いているのか。
ストーリィとしては今までの映画タッチな雰囲気や構図があまり見られないけれど、とにかくブラックジャックが連載されますよ!ってんで設定を煮詰めてる感じがもうもうと漂っている物語です。車椅子の先生の影がちらりとお目見えしますです。
あと、イカルちゃんが美人さん。
◎好き度 ★☆☆☆☆
◎報酬 お母さんに似ていたので無料らしい
◎これまでのブラックジャック先生
・先生はイカルさんをストーカーしてたのでしょうか。
・少年時代が初登場。車椅子に両足ギプス。
・過去を聞かれてキレまくる先生。
・オープンカーをご利用。
・母親への強い思慕があるご様子。