第3話 『ミユキとベン』
『どろろ』の百鬼丸と、どろろがゲスト出演です。
どろろは小さい頃からのファンなので、出演しているだけでも目にウフフなのが嬉しいこの物語。不良学生のふたりが、ミユキの入院している病院を見上げている詰め襟姿がなんともキュート。
ベン役の百鬼丸が、しょっぱなから政治だの政府だのを口にしているせいか、太刀打ちできないほどの巨大さで描かれている病院と、社会的に何の力も無い、小さな不良少年の対比にぐっと来ます。
たくさんの悪いことをして、鑑別所に入った回数を数えたりすることで、社会や大人への反抗をしているベンだけど、好きになった女の子を助けることの出来ない自分、助ける手段や、発想を持たない自分に歯噛みします。子供とは、自分で何かをしたいと思ったときに、自分だけの力では何も出来ないのです。だからこそ子供なのだと思うのです。
ですが、ベンくらいの年齢は、たくさんのことに気がつきはじめる年齢であり、たくさんのことが分からずにいる年齢でもあるのでしょうねえ…。それは彼らの年齢のときにしか味わわない痛みであり、それが一途ながむしゃらさに繋がるのかもしれません。
それを思わせてくれる手塚先生の手腕に胸きゅん。ほんと勝手に胸きゅん。
ベンは言います。
『病人を助けてくれ。助からねえ病人だけどよ、なんとか助けてほしいんだよ』
思いの疾走を感じさせるセリフのひとつですね。
ブラックジャック先生は、ベンよりずっと大人なので、助からない人間を助けろとはおかしな話だと、さらりと現実を口にします。もちろん、現実と常に戦って苦悩し続けているのは先生自身なのですが、ここではまだ、そういうヒューマンな先生の姿は描かれ始めてはいません。
病院の許可が無ければ手は出せない、と、現実だけを淡々と話す先生に、ベンは言います。
『じゃあ彼女をかっさらってくるよ!!』
うーわー
青い。
ちょう青い。
あーおーいー。
素敵だな、おいベンよ。
年齢とともにまといつくフラストレーションを、意味も無く反発や悪事で晴らしていたベンにとって、法に訴えることや、人脈を使うこと、権力や金を使うことなどは自分の引き出しに無いのです。
それって素敵だと思いませんか。
どうにかしたいけど、どうしたらいいのか分からない。
けれど、自分の考え付くなかで、一番自信のある方法から、その願いをかなえようとする。
それが子供じみた発想であろうとも、ベンにとってはそれしかありません。
それがいい方法だとは、本当は自分だって思ってはいないけど、それでも、ミユキを元気な体にしたいという願いがかなうなら、それでいいじゃないかという、周囲の迷惑や手続きを、まったく考えない浅はかさが、やけに清らかに、そして純粋なものに感じられるのです。
結末も、若さゆえの情熱が、命という深いテーマで切なく処理されており、印象に残るラストシーンになっています。手塚先生は、こういう切なさを描くのがすごく、すごく、すごーーーーくお上手でいらっしゃる…。
わたしがこんなこと書くのもおこがましいけれど、本当にそう思うんだなあ…。
構成的には、前半、ベンをしっかり描いている分、後半が少しだけ駆け足気味なんだけど、それでも十分にドラマチックだと思いました。
ちなみに、はじめて報酬の請求シーンがあります。
3話目でようやくだったのねー。
終
◎好き度 ★★☆☆☆
◎報酬 500万(用意できず)
◎これまでのブラックジャック情報
・先生のお家初登場
♪ベランダが壊れている
♪小高いへんぴな場所にある
♪なぜか酸素ボンベが客間に