ブドウの生産がどこで行われているか、ということにに非常に厳しい基準を設けているフランスだが、今年2016年は深刻な雹と霧の影響でブドウが大不作となり、自社以外で作られたブドウを購入しワインを醸造することが許可されることになった。

 

フランス国内ほぼ全域のブドウ畑を襲った霧と雹の甚大な被害を考慮し、政府は昨年廃止した法律を復活させ、ワイン生産者のブドウ買い付けを許可することを決定した。とくにブルゴーニュ、ロワール、ラングドック地方では、ワイン生産用ブドウの80%を同じアペラシオンから買い付けることが認められることになり、ラングドック地方の収穫全滅などの大きな被害などが最終的に今回の法律改正を推し進めたものとみられる。

できたワインは通常のブランド名で販売することは認めておらず、新規の’キュヴェ‘として消費者に紹介される。また、小規模自家栽培・醸造者としてレコルタン・マニピュラン(RM)のステータスは使用可能だ。しかしながらこの法律は昨年4月に廃止になったばかりで、今後、販売者側から落胆の声を聴くことが予想されている。

 

問題となっているのは、同じアペラシオン内からブドウを購入せねばならないことだ。ロワール地方シノンでドメーヌ・デ・ラ・マリニエールを所有するボリス・デボルデ氏は、「今春の霧の影響でブドウの60~70%がダメージを受けた。近隣の栽培者もほぼ同じような状況なので、同じ地域からワインを作るのに十分なブドウを確保するのは難しくなると予想している」とコメントしている。

 

ラングドック地方のピク・サン・ルーも似たような状況だ。シャトー・デ・カズヌーヴのアンドレ・レーナルト氏は、「先週(8月中旬)の雹で収穫するはずだったブドウがすべて壊滅的にやられた。このアペラシオンでは、全体で50~60%のブドウがなくなったと予想されており、ブドウが余っている農家はないだろう。そして何より私たちは、ここでできたブドウを使ってワインを作ることに意義があると思っている。それが個人生産者として、我々のワインを楽しんでくれる消費者に真摯でいられることではないか」と語っている。レーナルト氏は、今回の救済制度は二つの刃先を持ったナイフのようだと形容する。リザーブ用ブドウがなかったり経済的に問題を抱えている農家を救済すると同時に、一方でこの法律を悪用し、アペラシオン外のブドウを買おうとする農家も出てくるのではないかと危惧している。「ピク・サン・ルーは現在のステータスを手に入れるために多額の資金を投じてきた。我々は今年のワインの質を保つことと同時に、ブドウの原産についても十分にこだわっていく必要がある」と伝えている。リーナルト氏のシャトーではリザーブしていたブドウのみを使い、今年のヴィンテージを生産する予定だという。シャブリ地方でも同様の措置を検討している。

        

ステファヌ・ル・フォル農務大臣は、ワイン生産者に最大の支援を約束、詳細ははっきりしないが税制優遇措置などが含まれるとしている。
 

<出展>

 http://www.decanter.com/wine-news/hail-hit-french-winemakers-buy-grapes-327585/#hjM6wlKUlCAKGAJB.99