山藤のひと房を私に差し出して

タクシーを使わずに

山道を歩いて来たと満面の笑顔


ポケットの煙草と小銭を取り出して

無造作にテーブルの上に置く

そして、スマホの他には何も持たず




豆苗の胡麻和えを

レンゲ草だけはごめんな

よう食わんわ…と

申し訳なさそうに箸を置く




自分が一所懸命磨いた床に

伸びたり縮んだり


陽だまりで

だんご虫のように丸まっていたり


何をしてるのかと聞けば

少年のようにイタズラっぽく

光合成しているのだと笑う




いつも腹ペコ


自分の影に怯えて…



都会からの逃亡者