水は足下で巨大な渦を巻いていた
やがて それは目の高さにまで
不気味に膨張し始める
夢の中で
私を呼ぶ祖母の声
「池の端には寄られんぜ
龍神さまに連れち行かれるけん」
ばあば 違うよ …
今でも 私を水に誘う
あれは
4歳のオフィーリア
生家の上の 三宝寺には
龍神が棲むという池があった
次々と野の花を投げ入れて
遊ぶわたしを
その深い淵から
見詰め返す緑色の影は
花の冠を戴き
広がる水輪に戯れながら
小声で
囁くように揺れ漂う
わたしが
もうひとり、居る事の 不思議
そんな幼い頃の体験が蘇るのか
意識下の仕業なのか
変容する水の夢をよく見る