冬のしぐれた早朝には

まだ民家の外灯が点いてあり
何だか物哀しくて
故郷を離れた日を思い出す

青空を覆った雪雲が
墨流しのようにどんより
東の方に流されて行く

吹き荒ぶ風の中に立ち
私はジャージのフードを立て
マスクして …
逃亡する犯罪者のようだった

北風と重い雲を押し退け
山の端より 光り輝く朝陽を
車窓から見る

この地を去った人の家が壊され
更地になった跡に 
枯れ草だけが風に震えている

愛媛の生家を思い浮かべた

私はまだ
憎しみを捨て切れないのだろうか

我が子可愛さに人の子を喰う
鬼子母のような伯母に生家を奪われ

故郷と云う母胎から引きずり出された
あの 凍える朝が蘇る