潮が引いた後の
景色が 嬉しくて
向う側の 岸まで
ひとりで歩いて渡るのが
楽しかった
石の上に
海藻が ペッタリと
張り付いて
幼い 私には
まるで それは
人の髪のように見える
累々と
人の頭を踏みながら
途中
すり鉢状に 凹んだ
その中に
海の底から 現れた
虹色の輝きを放つ
美しい 宝石を見つけた
どのくらい
立ち止まっていたのか
--- 拾うたら いけんぜ ---
誰かが 私に囁いた
辺りを見回しても
海と 広野の中には
誰も居なかった
今でも
不思議に思う
あの 宝石は
何だったのだろう
持ち帰ってはいけない
ものだったのか
それとも
私の心象だったのか …と