遠くから 風が此処まで
要らぬ噂を
運んで参りました

とうとう … 彼方へ
いかれたのですね
伯母さま …

親に はぐれた 幼な子に
憎悪の種を 植え付けたまま
刈り取りもしないうちに …


あなた方が 打ち込んだ
胸に 残る
クサビの傷痕からは

まだ 赤い血が 
滲み出るのですよ …

誰にも知られず
生まれ故郷を追われた
凍えるような一月の朝

親の胎から 未熟児のまま
私は あなたに
引きずり出されたのです


せめて 

心とは 裏腹の

限りなく 

澄み切った  

恨みの空に 

般若心経 


謹んで

届けて 差し上げましょう



観 自 在 菩 薩 …