賢い悪人

「思うんだけど、考えるけど、あざみは凡人なの?」

 

くまさん

「大学院を修了する程度には、優秀だと思うけど」

 

馬鹿な悪人

「過去に、こんなことをあざみは言ったんだ。

 

 人間は平等じゃないだろう! 個体差があるんだから弱者はいるはずだろう! その弱さを許せないから皆頑張るんだろう! その頑張る機会を平等に与えるのが真の意味での平等じゃないのか!

 

 これは、戦っている人間だから言えたことなんだよな」

 

賢い悪人

「ああ、そんなこともあったねえ。

 

 それならそれで、今、言いたいことがあるのに上手く言えない理由は何だろう? 

 

 誰かに気遣っている気がするんだが、それは幽霊にか? 

 

 何故気遣うのかと言えば、それは大波乱を呼んで、幽霊をピンチに追い詰めるから? 

 

 それはそれでやっていいことだな。

 

 思うんだけど、考えるけど、あざみは、生まれかわりたいんだ。

 

 そのために、ヒーローに憧れて、他人を救って、敵を蹴っ飛ばして、活動を続けているんだ。

 

 だから、最初から何もしたくない幽霊とは、仲良くできないんだ。 

 

 あざみは、全人類がヒーローであって欲しかったんだ。

 

 それでいい。次に行こう」