第三章 束縛の恐怖
練習も終わり、地獄を乗り越えたと私は歓喜した。しかしそんな希望を一瞬で砕くように彼は言った。「明日も練習やろうね」と。どうやら完全に目をつけられてしまったらしい。私には希望がもう完全にないのか?なぜ私なのだ?そんな疑問を彼に問いかけても、彼は私を練習させるという趣旨のことしか言わない。しかも、今日は彼も一緒に私と練習をやっていたため、文句の言いようがない。つまり、詰みである。私はそう悟った。
ここまでの話が、本日、私の身に起きた悲劇の概要である。
ここからは、今後の水泳部の情勢変化について語る。まず、私の権力は落ちる。私の水泳部内における確固たる権力がなくなる。これは確実だ。そして、ここからが大事だ。それは、「彼をうまく利用できるか?」もしくは、「せめて利用できなくとも、彼と対等な地位を築けるのか?」ということだ。例えば、最高代になった時、彼と、練習に厳格さのないM氏の二人で中下を監督させて、上下:私 中上:川口 中下:大場 となり、練習が地獄のような光景になれば成功である。ではなぜこれが成功するのか?それを知る鍵は、彼の、練習監督をすることに対する態度にあった。前回のブログに私は「機械的思考」という題をつけた。そう、彼は機械的思考なのである。彼は私のように、きついことをやらせて楽しむことが目的なのではない。なぜなら、彼は自分も練習に加わる上、見ててもつまらない、ただのマシ練もやらせてくるのである。だから、練習させたいという思いを中下へ向けさせることで成功するのだ。