威勢のいいべランメェを江戸弁って言ってますけど、あれは江戸弁じゃないそうです。

昔、古老がよく言ってました。

江戸弁には、下町言葉と山の手言葉があって、その他、魚河岸言葉、吉原言葉なんてのがありんす。

神田言葉なんてのもあって、それは澄んでいて、きれいな言葉だったそうですよ。

神田の鳶(火消し)や職人ってぇと言葉が荒っぽく思えるけど、そうではないそうです。

昔読んだ本に「佐野周二の神田言葉は綺麗だったけど、息子の宏の言葉は汚いねぇ。」というようなことが書いてあったのを思い出します。

関口宏の言葉が汚いとは思わないけど、それだけ神田言葉ってのはきれいだったんでしょうねぇ。


ボクぁ、麻布育ちだけど、崖下に住んでたから山の手の下町の育ちです。

でも、山の上の金持ちの山の手言葉は聞いてるから知ってます。

今はデヴィ夫人が話してますね、いわゆる「テヨ・ダワ言葉」、「◯◯遊ばせ」。それからザーマス言葉。

あれは明治にできた言葉みたいですね。


ボクぁ、魚河岸のセリ人の倅だから、魚河岸言葉も下町言葉も理解できます。

昔、バス停でバスを待ってる時に、おばさんが話しているのを聴いて、「お母さん、江戸っ子ですね。」「木挽町です。」と当てたことが

ありますよ。

相手がお年寄りなら、日本橋、京橋、神田あたりの本当の下町言葉か、山の手言葉か、魚河岸か、本所、深川、浅草あたりの荒い言葉か、

大体わかりますね。


相手とシチュエーションにもよりますね、怒った時や友達と話すときはべランメェです。

昔は年寄りに「そんな汚い言葉を使うのはおよしなさい。」と言われたこともあります。


のてっ子だから、「ヒ」と「シ」はそんなにしっくり返らないですけど、「ヒヨシガリ」「布団をひく」「あさし新聞」はダメでしたね。

漢字を知って、やっと訛りが治りました。


昔、関西の女の子と付き合ってたことがありますけど、ベランメエで喋ると「怒ってるみたい。」、山の手言葉で話すと「女みたい。」

ってぇ言われましたね。


言葉なんて、地域や職業や階層で違うから、これが本当の江戸弁なんてのはないです。

今は落語のセリフの中だけにあるんでしょう。

残念なことです。