本の帯に“正義とは何か。犯罪被害者の叫びを聞け。遺族による復讐を描いた社会派サスペンス”となっている。

この本を読んで思うのは、余りにも現実のほうが残酷すぎる事だ。特に最近の女性行方不明事件。

戦争時の残虐行為はよく聞く。無理やり人を殺す事を強いられて、人間性が狂ってくるのは、ある意味、狂わなければ人を殺す事が出来ないのかも知れないが。でも、この平和な時代と、世界の争い事から隔離された日本で、どうしてまともに人として育たない人が出てくるのだろう。

彼らはどうして何のためらいも無く、自分より弱い人を痛めつけ、切り刻む事が出来るのだろう。そして、どのような家庭から、彼らのような人間が現れてくるのだろうか。今のこの日本に、この時代に、この社会のシステムに、根本的な欠陥があるのだろうか。もちろん、昔から、とんでもない犯罪者はいた。でも、最近、人間性を感じられない犯罪が多すぎるように思う。

自分も他人も、いとも簡単に殺してしまう。自分にも他人にも、沢山の繋がった人達がいて、彼らがどれ程の苦しみの年月を、これからの長い人生で過ごして行かなければならないか・・・。

この本では、妻を病気で失い、残された宝物の中学生の一人娘が死体で川の中から発見された事により、その父親の復讐の物語が始まる

未成年の少年2人の犯罪。花火帰りの可愛い浴衣を着た中学生は、オンナを物色していた少年達に薬を嗅がされて車に引きずりこまれる。そして、受験の為の名目で親が借りてくれたアパートに連れ込まれる。少女が死ぬまで強姦(レイプなんて言葉は軽すぎる)され、様々にビデオ撮影され、薬を打たれる。

この少年は、過去に20件近くも同じような事を繰り返していた。中には自殺した女性もいた。ただ、ビデオを撮られているいるので、誰も告発はしなかった。

一人の犯罪少年を殺し、逃げた少年を追いかける少女の父親。少年と犯罪者になった父親を追いかける刑事。世論を煽る週刊誌。人権派として、犯罪少年の人権をTVで主張する弁護士。父親に同情し、手助けをする女性。

復讐するためでも人を殺す事に最後まで苦悩し、最後にはそれを昇華させて引き金を引く父親。余りにも軽い少年犯罪への刑罰と、少年が犯した罪の計り知れない残虐性に苦悩して、それでも、刑事として少年を助ける為に父親に向けて銃の引き金を引かなければならない刑事の心の揺れ。

被害者は残酷なまでに丸裸にされ、少年は未成年の為にプライバシーも人権も守られる理不尽さ。そして、再犯率の高さ。

何かが、間違っているように思う。もし、自分の子供が被害にあったらと想像しただけで、胸が痛く心が張り裂けそうになる。

少年法も刑罰も社会のシステムも、諸々が、何が正しくて、何が間違いなのか分からなくなる。

ただ、マザー・テレサが言っている。

“愛“の反対語は何だと思いますか? それは“無関心”です。