hesiTation

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楽園の崩壊

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アルコールに灼けた脳が
「後継者様」を呼んでいる。

ねえ、ねえ。
ぼくは、何度あの夏に戻るのだろう。

ねえ、ねえ。
ぼくは、何度君を殺すのだろう。

あの夏の、妙に冴えた月の色を覚えている。
あの夏の、翳ることのない幾重もの世界を知ってしまった。
あの夏の、妙に凪いだ風の音を覚えている。
あの夏の、渇くことのない気紛れな通り雨を忘れられない。

ねえ、ねえ。僕の夏の娘。
ぼくの夏。ぼくの世界。
君は僕のお姫様だった。
君の為なら何でも出来た。
君の為なら何にでも成れた。

だけど。

あの春に、この線を越えてしまった、
彼女のことを、ぼくは生涯許さないだろう。

ねえ、ぼくはあのこじゃないよ。
ぼくたちはよく似ているけれど
ぼくはあのこじゃない。

ねえ、あのこはぼくじゃないんだよ。
ぼくたちは真似っこが上手だけど、
あのこはぼくにはなれない。

ねえ、ねえ。
君なら、気付いてくれると甘えていたんだ。

ねえ、ねえ。
君ならきっと、ぼくを呼んでくれると信じていたんだ。

あの日、逃げていく君を
ぼくは車の中で見ていた。
叫びだす程の衝動を持て余したまま
ぼくは逃げていく夏を見ていた。

なにが間違っていたのかと問われたら、
あの日、あの場所を望んだぼくを罰そう。

なにが正しかったのかと問われたら、
あの日、友人の連れてきた君を突き放したままでいよう。

ねえ、ねえ。
きっとすべてが間違いだったのだよね。

ねえ、ねええ。
きっと何もかもが狂っていただけだよね。

ぼくは、あのこは、きっと。
ぼくをぼくと認めてくれるこがほしかっただけ。

それは押し付けがましい自己愛で
それは不条理な自己投影だった。

ねえ、ねえ。赦して。

君があの日くれなかった罰をください。

ねえ、ねえ。罰して。

君を置いて逃げたぼくをどうか許さないで。

ねえ、ねえ。きづいて。

きっともう僕のことなど忘れてしまった君へ。

あの夏の残骸を抱き締めて。
ぼくは今も夏を待っている。
ああ きっと あのひ
授業なんかより
ドイツなんかより
君を優先していれば
なにかかわったのだろうか