ついに井坂幸太郎さんの作品も6品目です
アヒルと鴨のコインロッカー
タイトルを見ても話の内容が全く想像できません。
さらにあらすじを読んでも全くの謎…
もう最後まで読むしか他に方法はないようです。
大学に通うため、新しく越してきたアパートで
隣人に挨拶に行くと、そこで本屋を襲う誘いを受ける
大学生…。
隣人の目的は礼儀正しいブータン人のために
広辞苑を盗むことだといいます。
もうしょっぱなから伊坂節全開!
何のことやらサッパリ分からないまま物語は進みます。
途中、2年前の物語と交差したりリンクしたりしながら
思いもかけないような結末が待っている…というわけ。
ちょうど何て言うかな~あれに似てる。
目の前でバラバラになったルービックキューブをくるくると
回していたと思ったら、まばたきする間に全面の色が
揃ってた…みたいな。
ちゃんと法則にしたがって回しているので、手品でも何でも
ないんだけど…手品を見せられて時のようにポカンとする感じ。
んで、最後は「そうだったのかぁ~」って、妙に納得したりして。
だからといって最後が大団円で終わってるかというとそでもなくて
物語の最初から最後まで緊張の連続でピリピリしてたのに
ラストに身体中の力が抜けるというか…
「うん。そうだね。」「そうだよ。」なんて訳の判らない独り言女に
なってみたりして…ね。
感動というより妙な切なさが残る作品でした。
それというのも井坂作品には必ずといっていいほど登場する
最近の若者っていうキャラクター。
今回のには2年前の物語の大半を、特に最悪と思われる連中が
はびこっておりまして…
彼らは冷酷で無責任で攻撃的で…吐き気をもよおすほど醜悪です。
「こんなヤツいねぇよ。」って言い切れないところがまた怖い。
暴力的の質が悪化してる若者って増えてるでしょ?
まぁ暴力に上も下もないんだけどさ。
とにかく異質で理解不能というか…怖い。
そんなヤツ等が物語の中を我が物顔で好き勝手してて
「あ~怖い!怖い!いやだ!いやだ!」と思いながら読んでて
最後収束に向かうときは、心底ほっとするとゆ~か…
なんだかサッパリわからないと思いますが、そんなお話です。
井坂作品は全体的に苦さと切なさが残るラストが多いのですが
それでも謎だらけだった全てのパーツがキッチリ納まるので
妙に納得させられます。
んでまた買っちゃうんだな。
ちなみに今は「魔王」を読んでます。現在出版されているのは
あと2冊くらい?あっと言う間や~ん。
あ~早く新刊でないかな~