すご~く懐かしいモノが出てきました。

高校時代に使っていたアドレス帳。


懐かしい名前がいっぱい・・・


7割がもう交流のない人ばかりで、失礼だけど

「誰?」って人もいたりして・・・(^^;)


その中に、今でも胸が痛くなる名前がありました。


すっかり忘れたはずの名前なのに・・・


その文字の並びを目にするだけで、苦い思いが蘇ってきます。



今日はガラリとイメージを変えて「過去の恋のお話」

つまらないかと思いますけど・・・知ったこっちゃない(≧▽≦)

ちなみに文中の名前は仮名です(当たり前)

ってなわけで、はじまり、はじまり~!




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彼のことは高校1年の頃から知っていた。

アルバイト先にいた3歳年上の大学生。

体が大きくて無口だった彼とは、あいさつ程度の会話しかしたことが

なかった。


そのとき私には大好きな人がいて、初めての片想いが成就するか

に夢中だった。

他の男など目に入らないといったふうで、実際に目に入っていな

かったのだと思う。

いつも彼とはあいさつしか交わさない。

特別仲良くなろうとか、友達になろうとかいう気は全くなかった。


彼と急速に接近したのは、高校3年生になってからだった。

きっかけは、私と仲良しだったあみちゃんが、彼とつきあい始め

たから。

あみちゃんの好みがとても意外だという感想を持ったが、二人の

仲の良さそうな様子を見て、心底うらやましく思えた。


この頃の私は、2年越しの片思いを引きずって泥沼だった。

彼女がいながら私にも手を出そうとする悪い男。

そんな人を好きになってしまった後悔と、それを断ち切れない

自分の不甲斐なさに、心底落ち込んでいるときだった。

だからこそ、何も憚ることのない二人のことをそばで見ている

だけで幸せな気持ちになれた。


リョウちゃん


あみちゃんが彼のことをそう呼ぶので、自然と私もそう呼ぶように

なった。


リョウちゃんは私にもとても親切だった。

あみちゃんと仲良しなのは知っていたから、ないがしろに出来ない

気持ちが多かったのだろうけど、それでも優しかった。

二人きりで出掛けたいと思うだろうに、「大勢の方が楽しいから」と

言っては落ち込んでいる私も誘って、よく遊びに連れて行ってくれた。


夏休みが始まる前・・・私はそれまで働いていたバイト先を辞めた。


と同時に、永く引きずっていた恋に決着をつけた。


悲しかったけれど、思っていたよりも強かでいられたのは、

リョウちゃん達を見ていたから。

他にもイイ男はたくさんいる。

幸せな恋をしている人はいっぱいいる。

私にだって、リョウちゃんみたいな人が絶対に現れる。


傷ついた私にとって、リョウちゃんはその存在だけで慰めになった。





私の理想ともいえるカップルの破局は、奇しくも私の目の前で

起こった。

私の1学年下のあみちゃんは、夏休みもバイトに明け暮れていた。

休みを取ろうと思えばとれるのに、なかなかそうしようとはしない。

私とリョウちゃんは既にそのバイト先を辞めていて身軽だったから

二人であみちゃんの予定が合わないことにヤキモキするという

ヘンテコな状態が続いた。


「リョウちゃん・・・寂しがってるよぉ。」

私が必死に言い募っても、あみちゃんは生活を改めようとは

しない。

毎日毎日、朝から晩まで必死に働いていた。


それまで古株として割と責任を任された立場にいた私が辞めた

ことでその立場がそっくりあみちゃんに移行した形になった。

あみちゃんにとってそれはとても有意義なことだったらしい。

もともとあみちゃんは仕事が大好きなのだ。

「私がいないと」とか「期待を裏切れない」とか

たかがバイトで・・・と、こちらが苦々しく思うくらい、仕事に燃えて

いた。


めずらしくあみちゃんが休みの日に3人でお茶を飲んだ。

「あ、そういえば・・・○日のコンサート、やっとチケットとれたよ。」

リョウちゃんが楽しそうに言った。

「え・・・」

それとは反対に、あみちゃんが気まずそうに口ごもる。

「どうした?まさか仕事入れたとか言わないよなぁ。」

リョウちゃんは冗談ぽく言うけれど、不安げな表情は隠せない。

私は内心ヒヤヒヤした。


あみちゃんと約束していたコンサート。

がんばってチケットを取るのだと張り切っていたリョウちゃん。

「久しぶりのまともなデートだね。」

私の応援に、嬉しそうに笑ってたリョウちゃん。

まさかあみちゃん、そんなリョウちゃんのがんばりを踏みにじったり

しないよね?

「ごめん・・・仕事・・・入れちゃった。」

私達のイヤな予感そのもののセリフを、あみちゃんはちょっと

おどけてさらっと言い放った。

「なんでっ!前から言ってただろう?東京ドーム、この日だって・・・」

リョウちゃんの声が険しくなる。

心なしか押さえ気味だったのは、他でもない・・・私がいるから。

「だって・・・『取れるかどうか分からない』って言ってたし・・・

仕事、いろいろ任されちゃってるから・・・」


「そんな言い訳・・・リョウちゃんがかわいそうだよ!」

あみちゃんの勝手な言い分に、思わず余計なことを言って

しまった。

私は介入するべきじゃないのに、言わずにいられなかった。

「じゃあ、あゆさんが代わりに行ったらいいじゃない。」

「・・・え?」

最初、あみちゃんの言っている意味が分からなかった。

リョウちゃんも、まさかそんなことを言われると思っていなかったの

だろう。

怒るのを忘れたように呆然としていた。


あみちゃん・・・なんでそんなこと言うの?

そんなこと言っちゃいけない。

男の人とまともにつきあった経験がない私にだって分かる。


「もう・・・いいよ。」


それきり黙ってしまったリョウちゃんは、私以上にショックだったんだよ。



リョウちゃんはポンコツの中古車に乗っている。

車のことなんか何も知らない私は、車種なんてわからない。

ただ、いつもその車で律儀に私まで送ってくれる。

私の家の方が遠いので、まず私の家に行き、私を下ろしてから

あみちゃんの家までほんのわずかな二人きりのドライブを楽しむ。

それが当たり前だった。


ところがこの日、初めてあみちゃんを先に下ろした。

あみちゃんは不満を言うこともなく、そそくさと助手席から抜け

出すと「またね。」と言って手を振っていた。

リョウちゃんの「せっかくの好意」を無にしたことが、多少後ろ

めたかったのかもしれない。


「今日は・・・ごめんな。」

「そんなこと・・・私の方こそ、余計なこと口出ししちゃって・・・」

居心地の悪さを感じながら、私は遠慮がちに言った。

後部座席からは、リョウちゃんの後ろ姿しか見えない。

「余計なことじゃないって。そのものズバリ!俺の本心。」

「・・・うん。」

「イヤな思いさせたお詫びと言っちゃ何だけどさ・・・行くか?

コンサート。」

「えっ?いいよ!そんな・・・」

「やっぱ、あいつの代わりってのが気分悪いかな?」

「そんなわけじゃ・・・ないけど・・・」

いつもより、家に着くまでの時間が長い気がした。


もうすぐ家の前・・・

「リョウちゃんがイヤじゃなかったら・・・私はイイよ。」

なんとなく、リョウちゃんが独りぼっちになってしまうような

気がした。

そんなふうに、勝手な言い訳を自分にしていた。


コンサート当日・・・私が待ち合わせ場所を間違えて

だいぶ遅れたのに、リョウちゃんはちょっと困った顔をして

「ドジだなぁ。」と笑っていた。


当時はまだ携帯電話なんて夢のまた夢というモノで

当然誰一人もってなどいなかった。

「迷子になったら大変だからな。」

大勢の人であふれかえる水道橋駅から東京ドームまでの道程。

わずかな距離だったけれども、リョウちゃんはギュッとつないだ

私の手を離さずにいてくれた。


トックン・・・トックン・・・


鼓動が少しだけ早くなる。

・・・ああ、私、リョウちゃんが好きかもしれない・・・


あみちゃんの顔がフッと頭に浮かぶ。

私はたった今気付いた気持ちを、そのまま封印しなければ

いけないことに、ちょっとだけ心が痛んだ。



コンサートは掛け値なしに堪能できた。

リョウちゃんの大好きな『長渕剛』

リョウちゃんも心から楽しんでいるように見えた。


帰りの電車が混んでいるのと、お腹が空いたのとで

飯田橋まで歩いていきながら食事をしていくことにした。


食事をしながら、今日のコンサートのことについて興奮気味に

あれこれ話をした。

「あ、そういえば・・・チケット代、払わなくちゃね。いくら?」

私はバックの中から財布を取り出した。

「いいよ。俺のおごり。」

「ダメだよ。友達だもん。そんな甘えられないよ。」

そう言っても、リョウちゃんはがんとしてお金を受け取ろうとしない。

「・・・その代わりと言ったらなんだけどさ、頼みがあるんだよな。」

「なに?」

私はホントに軽い気持ちで聞いた。


「あみと・・・別れたい。」

「・・・え?」

私の中で、「まさか!」という気持ちと「やっぱり」と言う気持ちが

ぐちゃぐちゃに交差した。


「電話しても、相変わらず『バイト、バイト』でつかまらない。

ちゃんと話さなきゃいけないんだろうけど・・・もう・・・疲れた。」

リョウちゃんが小さなため息をつく。

私はなんと言っていいか分からずに、ただ静かに聞いていた。


「あみに会うことがあったら、『もう待ちたくない』って、

伝えて欲しい。」


今日の興奮など、どこかに吹き飛んでしまった。

私には、何も言えない・・・

あみちゃんの友達として「考え直して欲しい」と言わねばならない

立場なのに、どこかで喜んでいる自分がいる。

自分のずるさや醜さに愕然としながら、思い直すことができない。


いつもそうだ。

恋をすると・・・ツライことばかりが増えていく。


「会う・・・ことが、あったら・・・ね。」

私はリョウちゃんの顔もまともに見れずに、そんなことを言った。



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だぁぁぁ~~

すっげぇ長くなっちゃったよ~~~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

まだ付き合う前じゃん。


仕方がないけど続きます。


「先が思いやられる・・・」とか言わないで~~(。>0<。)