意志在るところ道は拓ける -3ページ目

笑わない

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んぱぁ!








中村天風

あなた方は、怒りだしたり、悲しみだすと、そらもう派手ですぜ。
すぐ第三者に「あ、怒ってる、悲しんでる」とわかるようにやりだす。
そうして、わからせたうえに、これがまた実に、ほかのことじゃ辛抱強くもないのに、そういうときの感情だけは実に念を入れて長く続かせるね。
それを執着というんですがね。



面白い爺さんだ。

何とも論理的に宇宙だ真理だと説教臭い説教を連ねる文節がとても嫌いだったのに

涙が出た。


わたしは自信家では無い。
淡々と振る舞う内はいつも何かに怯えている。


人であったり先の事であったりの不安要素に

怯えている。


この爺さんは日本刀で人を斬った。
猫も斬った。

奇抜だ。

その件で警察沙汰になったのかは知らないのだけど、人間は恐怖に怯え人間性を欠いたが猫は傷跡を毎日舐め続け自己治療で回復した、即ち強靱なる精神力のようなものを打ち建てて証明したかった爺さん。


以上の紹介を受け、知人に本を頂き数か月
途中まで読み進めたものの故意的なまでに誇張して難しく欠き示された文章が理解しがたく埃を被せていた。



久しく手に取ったのは三日程前からで、出勤前に出来た暇を潰す為に再びページを開いた。



やはり解り辛い。

だが、精魂込め演説している姿が目に浮かぶ。
拳を握りしめ唾が飛ぶほどに熱弁している中村天風が見える。



言っている事を理解したいと思った。

文節が難しいので解らない一章説を何度も何度も繰り返し読んだ。


自分なりの解説を加え少し理解出来たかもしれないと思ったとき、欠伸が出た。

涙も出た。


…なんっつて



述べられている事は初歩的且つ生きる基本のような素晴らしく簡単な事なのだが、頭で理解していても継続して実践する事が難しい人生邁進論とゆうとこだ。



あまりにも忘れ去っていた事を初めて理解したような、へそ曲がっているわたしを再認識したような
あっけらかんと涙が出た。

恐怖、悩み、悲しみなど微塵も感じなければ。


しかしこの本にそこまでの威力は無い。
あくまで心へ通ずる足掛けであるからして全てが本人次第なんですぜ!と天風風に思う。


因みに言うとあまりお薦めの著者ではない。人間としてとても味のある人だと思う。


松下幸之助の著書はお薦めなので、気が向けば手に取って御覧ください。


こんな締めでもいいでしょうか?

今時分

大阪

突然の雷鳴のあと雨音が激しく鳴り出す。

蒼白い雷光が灯りの消えた部屋をその都度浮き上がらせ
雨音から雨が大粒である事を察する。


風向きが変わった。
ベランダの手摺りに打ち付ける雨音は消え、通りを走る車が雨を掠める音に切り替わる。


もはや洗濯物を取り込む気さえしない。

明日の朝、陽によって乾くだろう。

明日もまた雨であっても
明後日の朝、陽によって乾くだろう。

太陽が昇らぬ日は続かず、いつか必ず明ける。


今夜は特別に美しい。

とにも全て美しい。

視覚と聴覚だけで過ごす夜は
静かな安堵をもたらしてくれる。




おやすみなさい