砂岡事務所プロデュース公演『変わり咲きジュリアン』
脚本・演出が堀越涼(あやめ十八番)のオリジナル舞台。
面白そうなキャストなので取ってみた。座席も前方通路側で期待も膨らんだ。
ところが、冒頭から女性アンサンブル達の柔軟体操。
チラシも無かったし、てっきり発表時キャストの5人だけで回す舞台だと思ってたので面食らう。
男女の子役までいて、後から知ったがWキャスト。
話もいまいちのめり込めない。癌宣告された30代の男の終活物語で、小学生の時にジュリアンと名乗るストリッパーの若い女に連れられて夏休みを過ごした広島のことを回想。20年後にその地を訪れた結果、自分は幸せだったと認識する内容だった。
結局は、ジュリアンという薄幸の女を、子供の視点から描きたかったのか。
贅沢にもバンドのナマ演奏付きだが、これが音量がつんざくほどけたたましく耳を塞ぎたくなるほど煩い。演奏が早く終わってほしくて、どんな音楽かも記憶にない。
合間に芝居やダンスがあるが、マイク無しなので、キャストの台詞の声がたまに小さくて捉えにくい。
ほぼ全員の台詞がおぼろげな中、藤原祐規の声は、さすが声優業も演ってるせいか、全てクリアに聴こえてきた。ただ物語の聞き手の役にすぎず、あまり面白くはない役。いっそ彼の過去話もやってくれたらいいのに。
林明寛の声は力強いが、こてこて回しの関西弁で、たまにしっかり届いてこない。小学生の娘がいる親父の役は珍しいが、剽軽で頼もしい存在ではあった。
小学生の男の子の子役の声は明るく聴こえてきたが、客席通路での呟きは果たしてみんなに届いただろうか。
隣の通路をキャストが何人か通ったが、C列とD列通路に照明が当たり、自分が書いたという「すごろく」について男の子がぶつぶつ言ってた。私には「すごろく」のイメージがどうしても湧かなかった。
私の前の席が2つぽっかり空いていて、何度も通るキャストが演出で使うのかと思っていたら、結局使わず。単に空席だったとは勿体ない。
一応主人公の小澤亮太からして、モニョモニョ声が聞こえず。後半の叫び声は、煩い音楽を意識して競い合ってるように思えた。
銀髪の相馬圭祐のヤンキー役は珍しいが、ジュリアンへの暴力シーンが影絵で、なんか腑に落ちない役どころ。
肝心のジュリアンの田上真里奈は、常にクールでムスリとした表情がミステリアス。赤いドレスも黒いシュミーズも色っぽく似合い、ヒロインとして鮮やかな存在感。
子役の女の子は可愛かったが、この子も関西弁で声も小さく、やっぱり台詞の半分が聞こえなかった。
他にも色々な登場人物が出てきて、芝居が上手いなと思う役者もいたが、肝心のキャストの名前が不明。登場人物の名前さえ把握できない。
大きなスクリーンが下手に掛けられていたが、映像技術がいまいちなのか、画像が薄くて文字も読めない。EDロールにキャスト紹介もあれど、文字が薄くロールが速くて殆ど読めなかった。
前半は主人公たちの居場所が殆ど上手で、センターはポッカリ空いたまま、首を向けるのも疲れる。
話の内容以前に、色々とストレスが溜まる舞台であった。
自らの体験談なのか、結局は小学生の時に味わった年上の女の人への甘酸っぱい思い出を表現したかったのか。歌やダンス、服を脱ぐ場面もあり、エロチックさを求めたかったのか。
自己満足の終活を語るには、脚本も演出も稚拙な舞台であった。
アフタートーク。
その張本人の堀越涼さんがMCとしてまわしたが、一番お喋りで一番はしゃいでいた。ちなみにみんなマイクを手に持ち、声もよく聞こえたのでやっとストレスフリーに。
堀越さんは34歳、メイン男性キャストも同年齢で、其々が年齢確認。一番歳下の林さんが親父役とは。小澤さんと相馬さんはヒーローになる前から実は知り合いらしい。
稽古エピソードとして、近くのコンビニに子役達と入った林明寛が、4人から「父ちゃん父ちゃん」と言われて、ビッグダディの気分を味わったとか。林明寛は親父色を出そうと、ゲネの時に髭を真っ黒に染めてきたら、堀越さんからストップがかかったという。林さんの話は楽しいな。
おとなしい相馬圭祐がみんなにイジられてたり、役と離れた彼らの素顔はホント魅力的。
逆に、キャストの魅力を活かせない舞台だったなとあらためて。
どんなにキャストが良くても、座席が良くても、作品や演出がダメだと、こんなに面白くないのかという見本になった。











