もっと歴史シリーズ 舞台 ジョン万次郎 | アクエリアス

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もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ 第6弾 舞台『ジョン万次郎』




『もっと歴史』シリーズは毎回観ていたが、今作は満を持した人物が主人公。
幕末に始めてアメリカの地を踏んだ日本人と言われ、その後の開国に大きな影響を与えたジョン万次郎。

そのジョン万次郎に何と溝口琢矢が抜擢。主演の溝口と共に「ドリフェス!R」でも活躍する石原壮馬と正木郁が参戦、さらにD-BOYSの荒木宏文ら、本シリーズ初参加組と、シリーズではお馴染みの役者陣が集結する。





お花スタンド






14歳で太平洋で遭難、アメリカの捕鯨船に助けられ、そのまま言葉も習慣も異なるアメリカの地で、差別や困難に挫けず学び、10年後にやっと帰国。折しもペリー来航、幕末の動乱期に巻き込まれ、運命と生き方が翻弄されていく。世界に魅せられ、幕末日本を開いたジョン万次郎の少年期から20代後半の青年期までを描く。

原作未読だが、激動の男の半生を2時間半で収めるには、やはりちょっと大変そう。登場人物も思ったより少なく、キャストは前半のアメリカサイドと後半の日本サイドのキャラの二役を演じたりと、なかなか忙しく慌ただしい。
ストーリー展開もアッサリ目でサクサク進行、そこかしこがスキップされたり、暗転が多かったりで急ぎ足。あんなシーンやこんなやり取りも観たかったと、ちょい物足りない気分。
それでもハマってるキャストの演技に心動かされ、たまにグッときたりと、良い出来栄えの舞台で面白かった。

現在23歳の溝口琢矢は、好奇心旺盛で積極的で忍耐強くてお喋りな気質のジョン万次郎に、まんまそっくり。基礎がしっかりしてるせいか、安定感ある台詞回しで、ここぞという時にちゃんとこなして発して届けている。ラストの表情豊かな長台詞をはじめ、楽しそうに熱演しているのが伝わってきた。

アメリカ側でジョン万を支えるのが、細貝圭演じるホイットフィールド船長。髭を蓄え落ち着いた物腰で情感豊かに好演、英語力も抜群だが、ABCの歌の音程がちと危い。ホイットフィールドの語る言葉ひとつひとつが心に響いて、何度も涙ぐんでしまった。細貝さんの声も温かい。
ジョンマンとホイットフィールドの別れのシーンが2度あるが、溝口くんと細貝さんがホントに信頼してるように、ギュウッと抱き締め合っていて、胸にグッときて微笑ましかった。

日本側で万次郎と深く関わっていくのが、山崎樹範演じる勝海舟。台詞回しにもおふざけがありアドリブも炸裂する怪演、ユニークで大胆なキャラ作りだが、舞台の世界観を明るく逞しく持ち上げる。
ジョン万というより溝口くんへの無茶ぶりもあったが、めげずに何度も走り込んで「がんばりまーす!」を連発する溝口くんもなかなかのタフガイ。「あいつ見どころあるな」と山崎さんも認めるほど、痛快な二人であった。

石原壮馬以外の他キャストは殆ど兼ね役。アメリカ人に見えるのは寿里ぐらいで、荒木宏文は嫌味なアメリカ人役。カッチの井深克彦がイッチでちょい卑怯者。
キャストはやはり日本人の役のほうが似合う。
鷲尾昇の吉田東洋、武智健二の島津斉彬は、共に万次郎を最初に認め重用した武士で、インテリ性と包容力がある。
正木郁の福沢諭吉、石賀和輝の坂本龍馬は、共に万次郎から影響を受けた若者で、交流部分などもっと観たかった。
山下聖菜はキャサリンも鉄も愛らしいが、鉄の簪がジャラジャラして気になった。

NHK大河ドラマの風にのって、西郷隆盛の石井智也が見た目も芝居もよくハマる。
ジョン万次郎の舞台も『龍馬伝』の年だったら、もっと注目されてただろうか。この作品を通して、すっかりジョンマンの激動の人生に興味を持ってしまった。
日本側はこのキャスト陣そのままで良いから、全8回のTV連続ドラマとかで、この「ジョン万次郎」の物語をじっくり観てみたいものだ。でも細貝さんの船長はまだまだ観たい。

ジョン万次郎が参加したカリフォルニアのゴールドラッシュ。その時に作業着として、デニムのジーンズが発明されたので、あの場面のミゾタクにもジーンズをチラと履かせたかったな。
この舞台、衣装にあまりお金をかけていないのも残念。



アフタートーク。
溝口琢矢と細貝圭はこの舞台が初対面。でも稽古になかなか溝口くんが参加できなかったようで、当初は細貝さんもどんな人か不安だった模様。でも溝口くんがまんまジョン万次郎だったと、嬉しそうに語った。
劇中で日本人とアメリカ人の会話は日本語で済ます。稽古で一回だけ細貝さんが英語で全部喋ってくれたが、溝口くんはさすがに聞き取れず、何度も質問したのだとか。
本来ならアメリカ側は全部英語でやって欲しかったが、キャストにも負担だし、日本語字幕も用意しなくてはならない。諸々の事情で日本語にしたようだ。
でも細貝さんは、劇中の調印の場面でアメリカ人として英語を流暢に喋ってたり、英語の監修も手掛けてるとか。ここにきてやっと、細貝さんの特技が発揮されたようだ。

溝口くんより1歳したので石賀和輝は、結構緊張しいで、お客さんから注目されてると、見ないで〜と言っちゃう。
「ミゾタク」呼びから、この舞台では「タクヤ」呼びで親密性をアピールしたが、肝心のミゾタクは「カズキくん」のまんま。
劇中で溝口くんもやってた走り込んで「がんばりまーす
!」を、石賀くんもチャレンジ。見事な叫びに、溝口くんも牽制。
井深克彦もチャレンジしたが、走り方がまんま女子で、MCからもつっこまれる。
キャストの素や関係性もわかって、楽しいひと時だった。

数年前に行った高知は、坂本龍馬絡みの地だけであった。
いま、もし、「溝口琢矢と行く土佐清水の旅」なんてのがあったら、私も行きたくなっちゃう。
中浜万次郎像とか、万次郎生家に万次郎仮墓とか、訪れてみたいな。
舞台を観ながらずっと頭の中で流れてたのが、ペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」♪ ツアーBGMもこれで決まり。