柿喰う客 2018年本公演『俺を縛れ!』
劇団「柿喰う客」の"黒歴史的娯楽大作"として、2008年の初演以来10年ぶりの再演。
作・演出は中屋敷法仁で、昨日の文ステ繋がりでもある。
忠義者の地方大名・瀬戸際切羽詰丸(せとぎわせっぱつまる)が、将軍から「裏切り大名」のキャラを与えられ、命令のままに将軍に反旗を翻す、オリジナル時代劇。
ストーリーテラーの七味まゆ味以外は全員新キャスト。
将軍に何世代も仕えた服部半蔵がアンチテーゼでもあり、今作は忍者がモチーフ。劇団員も客演も全員が全員、忍び装束の衣装で、あえてキャラに個性を与えない。
そんな可笑しなキャラクターたちが、時にマジメに時におちょくって、茶番チャンバラ劇を繰り広げる。
切羽詰丸を劇団の永島敬三が体を張った流暢な芝居と殺陣と熾烈なアドリブで演じきる。
リチャード三世を模したような醜く尊大な将軍・徳川家重をDボの牧田哲也。彼は2016年に劇団に新メンバーとして加入したという。
切羽詰丸の娘で数奇な運命を辿る姫ざくろを、何と宮下雄也が女役で怪演。声や所作が可愛らしい時もあれば、一転凄みと不気味さが炸裂、フリーザをイメージさせる戦闘で強烈なインパクトを残す。
清水優はそんな姫を一途に想い続けるが、いつもタイミングが悪く印象薄いキャラ。
中盤から本役でやっと登場の神永圭佑は、バトルコーディネーターとしてクレバーなアクセント。
やはり中盤からの平田裕一郎は、海賊仕込みの豪快さで切羽詰丸に助力、百人斬りという後半の一瞬だけ開花する。
牧田哲也と平田裕一郎といえば、テニミュの大石と海堂で共演した仲。今回ガッツリとした絡みはないが、2人がいるだけで安心感がある。
ただ残念なことに、舞台そのものはあまり愉しいものではなかった。
前方端席で、前の男の人の頭や体が視界を遮って、舞台がホントに観にくかった。特に演者が座り込むと全く見えない。ラストでしゃがみ込み嗚咽する牧田さんなんて殆ど観えなかった。気分はまるでIHIステージグランドの席だ。
舞台正面で見得を切る平田裕一郎さんのウインクや拍子木の音は、まんまあの「○○城の○○」の雰囲気だし、よく考えるとお城もそうだった。
人から与えられたキャラに囚われない、自分だけの自分なりの心で自由に生きる。
ちょっぴり考えさせられ、そのまま綺麗に終わるのかと思ったら、汚いオチが待っていた。
永島敬三さんの赤パンなんて見たくもないし、理屈こねながら引っ込んでも引っ込んでもなおも履かないで、見てるこっちがイライラ。そのままカテコへ突入しても構わんし、アドリブだか脚本通りだかは知らんが、いいかげんシツコイ。
観たいものは観れず、見たくないものをグダグダ見せられて、ほんにオモロくない舞台であった。
本編がグダグダ長引いて、帰りの時間帯もあり、これ以上この舞台で縛られては叶わん。アフタートークは参加せずにそそくさと退散。
あまり実のある内容でもなかったらしい。






