シス・カンパニー公演『令嬢ジュリー』
シス・カンパニー公演2017年第1弾は異色なW公演。
シアターコクーン内に、タイプの異なる二つの小劇場を設営。近代演劇の先駆者ストリンドベリの2大傑作を、連日交互に上演するという冒険。
『令嬢ジュリー』と『死の舞踏』に、気鋭の演出家・小川絵梨子が挑む。
どちらも原作未読。
先ずは『令嬢ジュリー』。
上演1時間20分の短さも珍しく気分的にラクだ。
特設S席は間近だが、普通に観えるS席チョイス。
伯爵令嬢ジュリーの言動に翻弄される、下僕のジャンと、ジャンの婚約者で使用人のクリスティンとの、束の間の三角関係を描く。
若い男女の情欲とあるから、てっきり我儘高慢なお嬢様が、真面目で一途な下僕を誘惑し肉体関係を迫り、最後は婚約者との間で血みどろの結末になるのかと予想していた。
実際は全然違った展開で、かえって拍子抜け。
ジャンは夢や野望のために金銭を求め、ジュリーは寂しさと居場所のために愛を求め、クリスティンは情と信頼のために神の許しを求める。
ジャンは現実味がなく頭が弱く自己顕示欲が強くてムカつくが、ジュリーは自分で考え自分で決断することもできず他人任せのガキのようで、とにかく面倒臭い。
城田優のジャンは紳士風で凛々しく見えるが、大声を上げると途端にチンピラ。どんどん阿呆面に見えてきて、格好よさも失われてしまう。どんな面倒な状況下でも、静かな中に凄味を見せて欲しかった。
シロタンは男性陣の中では光る存在だったのに、女性陣の中にいると何故か点滅してしまうようだ。
小野ゆり子のジュリーは、見た目の気品や美しさが足りず、惹かれる所が見つからない。話すと途端に下町の小娘のよう、令嬢にはとても見えなくて困った。
伊勢佳世のクリスティンは、髪を上げると知的に映るが、髪を下ろすと途端にアバズレに見える。あくまで冷静に信念を感じさせて、出番が少なかったのが残念。
男女アンサンブル30人ほどの名前があったが、そんなにいなくてもよかったのに。通り過ぎた後は汚らしく、結局後始末をしたのはクリスティンで気の毒。
鳥を始末するシーンがあったが、家で鳥を飼ってる人には気の毒。レミゼのティナルディが浮かんでしまった。
上の者から命令されるのは、時に理不尽だが、何も考えずに済んで気楽かもしれない。その分、自分というアイデンティティを放棄することにもなる。
グレンラガンではないが、「○○を信じる自分を信じろ」な話だったのかもしれない。
とりあえず阿呆な2人の苦肉の策で、三角関係は修羅場どまり。地獄絵図にならなくてよかった。
『死の舞踏』のほうを楽しみに待とう。
城田優のストプレは久しぶりだが、演技力だけで見るなら、『罠』初演の加藤和樹に似ていた。
城田優ジャンを観ながらふと、和樹ジャンだったら?育三郎ジャンだったら?と想像していた。
城田優のストプレは、こういうシリアス系よりもコメディのほうが合いそうだ。
一昨年観た福田雄一監督の映画『明烏』でのシロタンは実に面白かった。またタッグを組んで欲しいなと思ってたら、来年2月に福田雄一×城田優×浦井健治×ウディ・アレンのミュージカル。シロタンは福田雄一と相性が良さそうだし、面白い舞台になりそう。



