ミュージカル『アルジャーノンに花束を』
ダニエル・キイスの同名小説のミュージカル化。
2006年、2014年、浦井健治主演で上演されたが、今年はキャストを一新して新生『アルジャーノンに花束を』を上演。
過去2作品を演出、昨年『王家の紋章』も演出した荻田浩一が今回も演出。『王家の紋章』にも出演した矢田悠祐が初主演する。
矢田ちゃん目当てだったが、あまりチケットが売れておらず、今年に入ってからは招待券や無料券が出回る始末。チケットを正規に取ったことを早々と後悔。
浦井健治版の時は2階席だったが、今回は前方の端っこで、まずまず観えたことが救いか。
32歳でも幼児の知能しか持たないチャーリィ・ゴードンが、頭を良くする手術を受けて天才に変貌、白ネズミのアルジャーノンと共に、苦楽と運命を共にする話。
端正な顔立ちの矢田悠祐は、優しさと真っ直ぐさが表現されまずまずの芝居。無難な歌い方で、高音から徐々に低音へ音域が変わり、実はローボイスが結構な聴かせどころ。
今回のアリス・キニアンはチャーリィよりも歳上設定だが、水夏希は40代か50代に見える老け顔で、童顔の矢田ちゃんと並ぶとまんま親子。抱き合ってても全然唆られない淡白さ。ないわーw。
他のキャストは様々な役を兼ねる。
蒼乃夕妃のフェイは溌剌としたチャーミングさ。
和田泰右は実直なバートより、踊り狂いダンスのほうが活き活き。
小林遼介はどんなキャラでも凄みのある悪役っぷり。
戸井勝海のここぞという凛とした歌いっぷりと、長澤風海の伸びやかでコケティッシュなダンスが見どころか。
浦井くんの時と同じ曲なのか、だいぶアレンジされてるのか、楽曲が全然頭に残らず、ミュージカルという感じがしない。
ナマ演奏なのは贅沢だが、チャーリィが弾くピアノの音色が全く聴こえず、台詞だけで流すだけ、臨場感にも乏しい。
後半は特に端折り気味。原作にあった母親との再会や自分が入れられるであろう施設の見学など、観たいシーンが丸っとカットされててガッカリ。
チャーリィがイジメや折檻を受ける場面も、アルジャーノンが身代わりとなっていて、肝心の矢田チャーリィは傍観者の立場。アルジャーノンに自己投影させるやり方なのだろうか、これでは矢田チャーリィにも感情移入しにくい。
アリスはチャーリィの母親とも重ねる設定らしいが、それなら水夏希さんに母親役も兼ねて欲しかった。
ところが母親役として演じた皆本麻帆が、現在の場面では歳とったノーマとして登場したからやや混乱。若いノーマを演った吉田萌美で充分だろうに。少人数で演ってるのだから、一つの役は1人が全うして欲しかった。そのせいで、チャーリィの家族にも全く感情移入出来なかったよ。
ヘナチョコな設定と演出のせいで、キャラにも思い入れがわかず、物語そのものも薄い印象。
やはり『アルジャーノンに花束を』は、劇団昴さんで上演した、濃密な演劇が一番好みだ。チャーリィが実際にピアノを弾いてくれたしね。








