『ナイスガイ in ニューヨーク』
ニール・サイモンの原作を、福田雄一が上演台本の演出を手がけた、ブロードウェイ+日本コメディの新たな傑作。
フランク・シナトラ主演の映画版は未見だが、映画の名曲へのオマージュもあり。
ニューヨークを舞台に、プレイボーイの兄アランと生真面目な弟バディが巻き起こす大騒動。
当初は兄が弟を一人前の遊び人に仕立て上げる「マイ・フェア・プレイボーイ」みたいな話かと思ってたら、兄弟の父母が現れることから、「ファミリータイズ」みたいな話に収まった。
年末になると福田雄一の作品を拝むことが多いが、これは福田氏の中でも最高の部類。
ユーモアや下ネタに、今どきの時事ネタも軽妙に盛り込んで、妙にツボってしまい楽しかった。大ヒット中の「君の名は。」ネタで笑ったのは、周囲の中では私ぐらいかも。そういう意味では極めてオタクっぽいコメディ。
福田氏が其々にテレビ番組で関わってきた2人の若手実力派を起用したのは大成功。
井上芳雄はやはり歌の才能のみならず、ストプレでも達者な演技力。どんなアドリブでも嫌味がなく、顔中を汗いっぱいにさせての熱演。
作品に合わせてどんな役にでも変身する間宮祥太朗は、オーバーなメイクとアクションで引き込み、芳雄さんに任せながらも花道に乗る。
どんなオヤジギャグを演っても笑えてしまう高橋克美は、ギャグとシリアスのメリハリが実に上手い。
石野真子の登場はテンポを失速させてイラつかせるが、それなりに周りを立てる。
初舞台だというコニーの吉岡里穂は、イイ意味での素人っぽさが純粋でキュート。
つかこうへいの愛娘・愛原実花はコケティッシュな色気を振りまき、コメディエンヌぶりに磨きがかかる。
劇中では台本にない様々なアイデアやアドリブが巻き起こる。
克美さんがトランプもどきの鬘をめちゃくちゃに被り直したり、間宮くんの鼻の穴に指を深く突っ込む実花さんだったり、真子さんがドヤ顔見せたり、アドリブでも徹底的でスゴ過ぎw。
ミュージカルもどきにナマ演奏が本格的で贅沢。
井上芳雄アランが映画版の名曲を歌い上げるが、これが英語なので、イマイチ意味がさっぱり。せめて日本語字幕を出すとか、いっそ日本語で歌ってほしかった。吉岡コニーの真似をして歌ったミュージカル調「ブヒブヒ」のほうがよっぽど素晴らしく思えた。
芳雄アランに引き摺られて、間宮バディもソロやデュエットやダンスもやらされ、ピタリとハマってるのが見どころ。『鍋』の経験も役に立ったかな。
間宮くんは黒髪と太眉と濃いメイクで、顎の形が「パタリロ」のバンコランそっくり。10年後にでもバンコランを演ってほしいなと思った。
カテコで、「今日のお客様はノリが良くていっぱい笑ってくれた」「外は寒いが、この劇場の中はいつもより熱い」と芳雄さんらキャストが嬉しそうに話していた。確かに私も随分笑ったからね。
久々に愉快で楽しい舞台に出会えて満足した。
『ニーチェ先生2』もあり。




