極上文學 第十一弾
『人間椅子/魔術師』
日本文學の上質な世界観を立体的に表現する、本格文學朗読演劇シリーズの第十一弾。
今回は江戸川乱歩の原作の二本立て。
『人間椅子』
椅子の中に人間一人が入り込み、女の感触を皮越しに感じるという椅子職人と、彼の告白を知る佳子夫人。
『魔術師』
異常なまでの復讐心に燃える魔術師と明智小五郎との死闘、明智の恋愛話も盛り込まれる。
ステージ中央にテントを模した三角型のセットと上から垂らした布地が配され、盆が回る度に様々な表情を見せるのが興味深い。
二作品が絶妙にリンクされ、キャスト2人は二役を演じ、具現師5人も役を務める。奏で師・音楽は橋本啓一。
「椅子職人」がほぼ2人芝居で単調なのに比べ、「魔術師」は残酷シーンもあれどアグレッシブで、危機一髪やアクションもあり、二転三転する結末もあり、明智の未来の夫人ともなる恋話もありと、ギュっと濃縮されてて盛り沢山な内容だった。
読み師は台本を手にしてはいるが、客席を使った動きも多く、もうほぼ普通の演劇になっている。サイキック・ミステリーとしても見応えがある。
村田充は変態的な椅子職人と、袴をはいて髪を結んだ玉村一郎を堅実に演じる。
伊勢大貴の明智小五郎は言葉に張りがあって爽やかだが、40歳設定だとやや若く感じる。でも立ち居振る舞いには闘志が漲りカッコいい。
小西成弥が上品で艶やかな佳子夫人と、玉村家令嬢の妙子を好演。女声も軽やかで、所作もゆったりで、なかなかの美女ぶり。
成弥と対照的な女を演じたのが、昨年「艶漢」を降板してしまった水澤賢人。ビジュアル的にはキュートさアピールだが、賊の娘としての運命に抗い明智を手助けする、芯が強く優しい文代を健気に演じていた。
村田充を圧倒的に超えてしまったのが、初参戦のROLLY。たまに台詞読みに手間取るが、冷酷卑劣で計算高く執念深いマッドな魔術師こと奥村源造を、派手に逞しく演じきり圧巻だった。ROLLYの変態ちっくな笑い声はなかなか頭から取れない。さすが芸達者というべきか。
密室を水で埋めつくすというのも、布地を大きく使った演出で上手かった。
ラストで椅子職人の村田さんの頭上からどっさりと赤い小片が降り注ぎ、大変そうだった。
毎回キャストの公演組み合わせが変わるので、色々と楽しめそうだが、今回のは当たりかな。
2人の女対決も見どころ
やはり江戸川乱歩の作品は極上文學に合っていそうだ。
また明智小五郎シリーズをお願いしたい。



