演劇集団円公演 景清 | アクエリアス

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演劇集団円公演『景清』
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近松門左衛門の浄瑠璃台本「出世景清」を原典とした舞台。
演劇集団円の代表の橋爪功が主演、森新太郎が演出する。

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老将の平景清が、訪ねてきた娘に請われ、自分が盲目となった波瀾万丈の人生を語る。
平家の侍大将の景清のことはこれまで知らなかったが、相当な荒武者で豪胆な人物で、平家滅亡後も生き延びたという伝説があるという。

油の乗りきった武士として、激しく強く立ち回る橋爪功さんは年齢をも超越。射るような目力と凄みのある声と大きな芝居とアクションに圧倒される。

景清にヤられる武士たちは忽ち、胴体真っ二つ、股から下を切り裂かれ、炸裂する肉片と血みどろの川。
これ、実写ではとても表現叶わず、深夜アニメでも制限されるだろうな。
人形と紅い紐を使ってこそ、漸く描ける凄惨シーンに違いない。

景清とその娘以外のキャスト10人程が、それらの人形を丁寧に操って、他のキャラ達を構築してるのがポイント。
中にはなんでこんなデカイの?な人形もあり、横に傾けて出入口を通る度に笑いが込み上げる。

人形を操る俳優達からは、眼と声でしか演技を知り得ないが、それだけで心揺さぶるものもあり、さすが層が厚い「円」だなと実感。
特に景清の妻・小野姫の戒哲史と、遊女・阿古屋の石住昭彦の女形2人は、声も所作も凛としてて女の切なさを感じる。
阿古屋の小さな息子2人の声も可愛らしく、兄・弥石の乙倉遥の眼の輝きが印象的だった。

舞台のキーマンで、景清の娘を演じた高橋理恵子が今回のお目当て。変わらず美しくたおやか、芯の強い声と口調が、いかにも景清の血筋を感じる。

「武士」とはなんぞや。
身を以て問いた言葉の重みと残酷さに、景清と娘の宿命を思うのだった。

演劇集団円ならではの、いわゆる実験的な舞台。
「南無感」の文字が浮き彫りにされる舞台セットで、日本版「レミゼ」のような力強さを感じた。
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やはり演劇集団円のベテラン勢は見応えある。
森新太郎さんの演出もバイタリティーがあって面白い。
今でしか観れない舞台だといえよう。


先月他界された平幹二朗さんのサイン入りポスターを、劇場ホワイエで発見。
こういう舞台も観たかった。
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