劇団昴ザ・サード・ステージ公演 Vol.34『THE GREEKS』。
10本のギリシャ劇によるひとつの物語。
第一部:戦争
第二部:殺人
第三部:神々
10年続くトロイア戦争と、その後を描く、人間と神々の物語。
これまで「トロイラスとクレシダ」や「トロイアの女たち」など、色々個別に観てきたが、こんな風にがっつりと三部作を通しで観るのは初めて。
休憩含め7時間だが、第二部と第三部の間は食事時間も取ってあり、全編で9時間。丸一日が吹っ飛ぶ計算。
だが長時間を感じさせず、次の展開が知りたくなる濃厚で壮大なストーリーで飽きさせない。
常に高みと変革を目指し、安定と熱量と明瞭な芝居を提供する、劇団昴の力も大いに発揮されているせいか。
上村聡史の演出は、斬新かつ静動のメリハリを効かせる。現代風の衣装とメイク、セリフや音楽もより今風で、時にやり過ぎのような破天荒で騒がしい場面もあるが、親密性ももたらす。
人間と神々、多数のキャラが登場し、大勢が死んでゆくが、殺害場面は極力減らし、棺や布や夥しい血の跡が悲惨さを表す。死体が暫く転がってることもあり、時に目を背けたくもなる。
最初の出航から、ラストの出航まで、およそ10年+7年の月日。
その間、様々な男と女、幾つもの親と子、無数の善と悪を、激しく強く静かに残酷に描き出す。
特に女の生き様に焦点が当てられて、現代社会ともオーバーラップし、やけにリアルな感覚。
お気に入りキャラクターや、印象的なセリフも見つかる。
Ⅰで登場したイピゲネイアは、てっきり死んでいなくなったかと思わせるが、ラストのXで再登場、しぶとく再興を狙い、落合るみのハマり役。
彼女の姉妹はかなり熾烈。弟オレステレスはまだ10代だと思うが、もう少し痩せた美形をキャスティングしてほしかった。
父アガメムノンは本能的にキライな男で、母クリュタイムメストラも野心家だが、石井博美と服部幸子が、ラストに其々別役で出て、イピゲネイアと接するのがポイント。
トロイアから奴隷としてギリシャに連れてこられ、身籠った後に命を狙われるアンドロマケが残した言葉「息子の中に私が生きてる」は、総ての女性の叫びにも聞こえた。彼女の存在がトロイアを永遠に見せる。高山佳音里が好演。
ヘカベの小沢寿美恵が重厚で圧巻。
アキレウスの加藤和将とパトロクロスの近藤瑞希のキッスシーンが濃厚。オレステレスに仕えるピュラデスの忠実さもいい。
深みと渋味の役者ももちろんいいが、汗ほとばしる熱い若々しさも眩しい。
ヘクトル、パリス、アキレウスの息子がセリフの中だけで、登場しなかったのが残念。其々の想像力に任せるだけか。
神々では、ゼウスやアフロディーテは名前のみの登場。
劇中では度々存在が仄めかされる、神々で最も怖いのが復讐の女神たちだが、もう少し映像やモチーフで見せてほしかった。
とにかく、一挙三部作をたっぷり堪能できて満足だ。
自由席だが通し券なので、第一部終演後と第二部終演後に、次の第二部と第三部の席を自由に選べるシステムだったのも嬉しいサービス。おかげで最前列の見易い席をキープできた。
そもそも三部作を一挙に観劇できたのも、劇団昴さんの新しい劇場が近場だったからだ。
家から電車一本で劇場まで40分足らず。第三部が21時40分に終了し、帰宅したのが22時15分。とてもラクだった。
やはり劇場は近場が良し。
かつ座席は観やすい位置が良し。
劇団昴さん、ステキな企画公演をありがとうございました。







