音楽劇『星の王子さま』。
サン=テグジュペリのベストセラーを、3人の俳優とピアノ&コントラバスの編成で、新しい音楽劇として贈る。
2015年12月から地方公演を経て、東京公演では2日限りの上演。
チケットを取る時は、てっきり朗読劇なのかと思ったが、良質な演劇、ミュージカル劇として仕上がっていた。
青木豪の脚本と演出は、誰にでも馴染めるエンタメ。分かりやすい言葉で紡がれ、細部まで練られたアドベンチャー形式。たくさんのキャラクターも個性的で活き活き、ポップで豊かな世界観を築く。
今まで様々な形の色んな「星の王子さま」を見聞してきたが、今回の音楽劇が一番面白く、胸に残る作品だった。
昆夏美の王子さまは、小柄な少年らしい声と体と動作で、黄色いマフラーもよく似合う。伸びやかで張りのある歌声は絶品で、王子さまの心情にストレートに近づけてくれた。
王子さまと出会う飛行士役の伊礼彼方は、誠実で男らしい人柄が滲む。情感ある歌声も素晴らしい。他にも色んな役をこなし、その度に衣装で目を楽しませ、バリエーション豊かな歌声を披露、底知れない幅広い表現力を見せつけた。
劇中の語り部でもある廣川三慶は、安定感ある芝居で支え、愛嬌たっぷりの色んな役で王子さま達を牽引する。
ピアノ演奏の服部桂奈までが、劇中では重要な役で芝居をする。
コントラバス演奏者の小美濃悠太はあまり顔が見れなかった。
アンサンブル出演者も多く、様々な役を演じたが、衣装は少し統一して欲しかった。
王子さまにとっての「バラ」は、飛行士にとっての「妻」でもあったのか。
新鮮な解釈と発見もあり、戻ることのならない王子さまの諦めと切なさが心に突き刺さる。
目に見えぬものの大切さ。真実を知らないときの幸せ。呆気ない別れと執着ある繋がり。
ミュージカルナンバーが、シニカルな三者をカラフルに濃厚に繋げてくれた舞台だった。
昆夏美さんはやっぱり好みの女優だな。
伊礼彼方の奥深い表現力も思い知った。
次は2人が出るミュージカル「グランドホテル」をぜひ観たいものだ。





