映画『海難1890』。
日出づる国と月昇る国、日本とトルコ。
ふたつの国を結んだふたつの実話を元に、ふたつの国の人たちを描く。
今までドキュメンタリーミニドラマなどでやってはいたが、こういう一本の作品として公開されたことは喜ばしい。
日本・トルコ合作で、トルコの人たちも多数出演。
第一部「エルトゥールル号海難事故編」は、トルコ側と日本側双方からの視点や立場で同時進行。
竹刀と剣の立ち会い、赤ん坊誕生の報せと赤ん坊のアップ、火と炎、波と水と、リンク&カットさせる演出はなかなか面白い。
日本側が田村医師を中心の和のドラマに対し、トルコ側はムスタファ大尉と操機長の対立と和解、日本土産や仲間意識などドラマ自体が濃い。それだけトルコ側により重きが置かれたのはよかった。
海難事故に至る経由や爆発や多数の死者など、ひとつのパニック映画としても充分に成立。事故シーンだけでも感情移入させて残酷な運命に涙した。
トルコが好きで25年前にも旅したが、この映画でトルコの人達をもっと好きになった。トルコ語の言葉も、奏でる音楽も耳に心地良い。
第二部「テヘラン邦人救出劇編」のエピソードは、当時の報道では伝えきれていない、トルコの人たちの怒りや反発、慈愛や人助けが生々しく感じられてより緊迫感。
トルコ政府に比べ、日本の国や政府の非情さにもあらためて恐怖した。今なら日本の人は更に見捨てられるだろう。
内野聖陽の誠実さと、ケナン・エジェの実直さとが、綺麗に符合して物語に深みを与える。
しかしケナンさんって、思ってたよりは若い方らしい。
忽那汐里が静かな強さを放ち、時空を超えた再会に心ときめく。
小澤征悦、宅間孝行も落ち着きがあり、大東俊介、渡部豪太、辻本祐樹など、若手実力派も参加。
アリジャン・ユジェソイが豪快だが、名前を把握できないトルコの俳優陣の層の厚いこと。
人助けとは普遍的で、人間にしかできない当たり前のこと。
人と人との真心が、時には国と国とを変えることもある。
その繋がりの記憶と感謝の念は、ずっと風化させてはならない。



