舞台『もとの黙阿弥 浅草七軒町界隈』。
井上ひさしの傑作を、栗山民也が演出。
企画協力はこまつ座だが、松竹創業120周年として新橋演舞場で上演。
文明開化の明治、浅草の芝居小屋を舞台に、二組の男女の入れ替わりで入り乱れる人間模様を描く。
豪華キャストで復活とはいえ、会場は空席も目立つ。
こういう作品なら、新宿のサザンシアターのほうが適当だと思う。
なにしろ嘘か本当かではなく、現実か芝居なのかが問われる内容で、舞台と客席との一体感が欲しいから。
片岡愛之助さんは、男爵としての喋り方や所作などがオットリと新鮮。ただ主演にしては出番は多くなく、二幕後半はハケたまま登場しない。
殺陣や立ち回りを封じられた早乙女太一は、書生としてイヌッコロのように男爵に付き従え、芝居の表現力がモノを言う役。男爵に化けてから「ひさまつぅ~」とベソをかく様子がカワイイ。
当初はお嬢様は真飛聖さんのほうだと思ってたが、蓋を開けたら貫地谷しほりさん! チャーミングな芝居だが、役的に物足りない。
魔飛さんは前半のハキハキ明朗活発な女中ぶりはよかったが、後半は少々精彩に欠ける。
波乃久里子さんの座長はきっぷも良く、場を締めて盛り上げるさすがの存在感。
番頭の大沢健さんは、時に場を牽引したりと頼もしい。
床嶋佳子さんのツンデレぶり、渡辺哲さんの大らかさも見事。
酒向芳さんが長身で不気味な雰囲気。
浜中文一くんと前田一世くんは、かっぽれを踊るだけあって劇中劇では活躍。浜中くんと貫地谷さんは昨年『ガラスの仮面』で共演したが、今回は2人が絡むシーンは無し。
井上ひさし得意の音楽劇で、チンドン屋らしきナマ演奏もあり贅沢。
女性アンサンブルの賑やかな歌と踊りが結構楽しかった。
二幕の劇中劇では、真飛さんの宝塚な歌あり、太一さんのキレのいい踊りありと豊富だが、「うどんとタバコ」の内容はイマイチ。
三幕の劇中劇では、愛之助さんがヘタな歌舞伎をやる設定で笑いを取る。貫地谷さんのボテボテ演技は、北島マヤが演ってる感じでこれも笑えた。
でも愛之助さんと貫地谷さんの組み合わせは、やはりシックリとこない。真飛さんが23歳に見えないので、太一さんとの恋台詞も違和感。
宝塚の習性なのか、ラストの真飛さんからは悲劇性が感じられずイマイチだな。
やはり真飛さんと貫地谷さんは役を交換したほうがよかったと思う。表現力豊かな貫地谷さんなら切なさも感じられて、太一さんともバランスが取れるハズ。
前半は面白かったが後半は失速、笑いよりも後味の苦さが残る。
今春の『小林一茶』と同じく、井上ひさしは、浅草の住人たちを冷めた目で見てるんだなと思った。










