京川 舞選手
前十字靱帯断裂で全治6カ月。オリンピック絶望。更に日本で
行われるU-20代表も絶望。膝の痛みより心の傷が痛いだろ
う。
オリンピックの神様は時として試練を与える。

水泳の北島選手や柔道の野村選手のように、3大会連続金メ
ダルという偉業を成し遂げる人もいるし、鈴木大地・岩崎恭子
のようにシンデレラストーリーを歩んだ人も。
 
一方で、モーグルの上村愛子選手のように4大会連続で出場し
7位6位5位4位と、これも神様のいたずらか。
里谷多恵選手は2大会目の長野であっさり金メダル、その後は
成績不振。今では上村選手の方が人気・知名度ともに圧勝して
いるのだが、後世に名を残すのは里谷選手の方だ。

京川選手の強みは「若さ」。先を見越したポジティブな考えで、是
非復活を成し遂げてもらいたい。
 柔道の福見友子
選手もオリンピックの神様に振り回された一人。
彼女ほどの精神力の持ち主はまずいない。

過去、ヤワラちゃんが怪我から復帰した時に勝利し、出産から
帰ってきた時もそのヤワラちゃんを下したが、世界選手権の代
表に選ばれずに、結果オリンピックにも出場できなかった。
その後ヤワラちゃんが引退し、一時代を築くかと思われたが、
彗星のごとく現れたのが浅見選手。10年11年の世界選手権
の決勝で福見選手は浅見選手に敗れた。更に年末の大会で
3連敗を喫した。誰もが女子48Kオリンピック代表は浅見選手
と思った瞬間である。
しかし、福見選手は決してあきらめなかった。文字通り命を賭
けて、勝負を挑んだ。今年はじめの大会で浅見選手を退け、首
の皮1枚で臨んだ先日の最終選考の大会。見事優勝を果たし
オリンピックの座を獲得したのである。

この大会で優勝しても、浅見選手が選ばれる可能性も十分に
あった。選考会で福見選手が選考されたのは、「世界大会でプ
レッシャーを跳ね除け、優勝できる精神力の持ち主」ということ
だったのである。選考委員にそう思わせたのは、この苦しい時
期の必死の頑張りに他ならない。

福見選手はオリンピックの神様が見放し、「運」が離れかけたそ
の時、自分の努力と精神力でこれを手繰り寄せたのである。恐
らく本番での結果も今から想像がつくというものである。

頑張れ京川選手。焦らず今はただ怪我を早く治して復帰するこ
とに全力を注いでほしい。焦らずともオリンピックの神様の光は
これから先長く、京川選手を照らし続けるのだから。