妊婦の約3分の2に吐き気とおう吐が報告されています。たいていのつわりは軽度で一過性ですが、中には持続的で重度の吐き気とおう吐に苦しむ女性もいて、深刻な健康問題となっています。妊娠中の過度のおう吐は何世紀にもわたって認識されてきたにもかかわらず原因解明は進んでいませんでした。ケンブリッジ大学およびNIHRケンブリッジ生物医学研究センター(英国)のStephen O'Rahillyらをはじめとする国際研究チームが、妊娠中のつわりとGDF15(growth differentiation factor 15)と呼ばれるホルモンに対する感受性との関連について、Nature 2024年1月25日号760ページで報告しました。この発見により、妊娠悪阻の予防や治療の研究が進むといいですね。

 

血液中のGDF15は、ミトコンドリアに機能障害が起こると細胞から多量に分泌されるたんぱく質で、遺伝性疾患であるミトコンドリア病の診断マーカーとして実用化されてきました。 加齢に伴い増加することが知られており、血中GDF15濃度が高い高齢者は、死亡リスクが高いことが海外の研究で報告されています。

妊娠前にGDF15値が低いのはある意味悪くないのかもしれませんね。悪阻はきつくなっちゃうけど。