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父の湯灌(ゆかん)の儀、納棺が終わりました。
まず湯灌の儀で行ったことを書いていきます。
始めに父の体の処置を行い、その後浴槽へ運ばれました。
まずは生前に父が好きだった飲み物を綿のような物に含ませて、口元を湿らせていきます。
これはこの世での最後の飲み物になるそうで、父の最後の飲み物としてカフェオレを選びました。
飲み物はお酒でもお茶でもコーヒーでも何でも良いそうで、亡くなった方が好きだった飲み物を飲ませてあげます。
次に一人の納棺師さんが父の髪の毛をバリカンで剃り、もう一人の方が足先から体を洗っていきます。
バリカンで髪の毛を整えた後、シャンプーを2回したのですが、2回目の洗髪の時に私たちも父の髪を洗いました。
バリカンで3ミリに整えた上、ほとんど丸坊主のような父なのでツルツルしているとおもいきや、意外にふわふわと柔らかな手触りでした。
その後髭剃りを行い顔を乳液で保湿して整え、顔周り体のことで気になるところはないか納棺師さんに確認された後、湯灌の儀は終わりました。
体が綺麗になった後、父はお気に入りだったジャージを着せてもらいベッドに眠るように横になっていました。
父との最後の時間にお腹の上で組まれた手にそっと自分の手を重ねると、その手は信じられないくらい冷たいまま。
湯灌の儀で使ったお湯は40度以上あると聞いていたので少しは温かいと思っていましたが、ドライアイスで内蔵まで凍ってしまっている父に体温を感じることはなく。
父が死んでしまったことは現実なのにまだまだ受け入れられなくて、涙が溢れ出しました。
湯灌の儀の片付けの後、父の部屋に棺が運び込まれました。
納棺師さんと家族で介護ベッドから棺へと父を移し、父の旅支度の準備にため、思い出の品を詰めていきました。
184センチもある父なので1番大きな棺を用意してもらいましたが、上から下まで隙間なくピッタリと納まりました。
葬儀屋さん曰く、余裕があると中で体が動いてしまうことがあるのでこれぐらいがちょうど良いとの事でしたが、本当にピッタリ過ぎて何となく窮屈そうに見えました。
棺に入っている父は今まで見たことないような、とても綺麗な顔をしていました。
納棺師さんが眉毛の白髪を1本残らず切ってくれて、痩せてしまった頬にも綿が入りふっくらとして。
薄く化粧をしてもらった父はまるで眠っているかのように穏やかな表情をしていました。
最後に家族と納棺師さんでゆっくりと棺の蓋を乗せました。
棺の顔の部分の戸を開けると、蓋をする前と変わらず父がいましたが、私は直視することが出来ませんでした。
誰もいなくなったベッド。
棺に入った父。
本当に死んでしまったんだ。
もう話すことはできないんだ。
そんな気持ちでいっぱいになってしまいそっと棺から離れました。
まだ父の死が信じられない。
ただただ、胸がいっぱいで。
無事に父の納棺まで終えましたが、着実に近付いている父との別れに心がざわざわとしています。
今日は父へ手紙を書きました。
父が好きだった食べ物も買ってきました。
気持ちの整理はつかないけれど、
お別れのその時までの残された時間を大切に過ごそうと思います。