ちょっと養生 ~壁~ | 南青山・表参道のサロンオーナー 高島なゆみのヒーリングメッセージ

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開放 〜 広がり 〜 融合 Release 〜 Expanding 〜 Oneness
疲れている方たちへ、疲れていることも感じられない方たちへ、少しだけ立ち止まって自分自身を見つめる時間を持って頂きたい。

嫌な予感がした。

 

母は順調に回復し、後一歩で集中治療室を出られると言われている。

 

でも、胸騒ぎがする。

 

姉が病院に行く日で、私は仕事が詰まっていたので予定していなかったが、

なんとか時間を作って、顔を出した。

 

母はいつもと変わった様子はなく、来る予定ではない私を見て、嬉しそうに

「来たの?」と言ってくれる。

 

良かった。

 

暫く話をして、姉が来たのを見届け病院を後にした。

 

自宅に向かう帰路、姉から、母が震えていて、今押さえているとラインが入る。

 

熱発だ!

 

私に急を知らせるために、集中治療室から出て急いでラインをしたのだろう。

 

すぐママの所に戻る。

 

と短い文。

 

熱何度?

 

と打ったが返事がない。

 

まずい。

 

感染症。

 

心臓の中に菌が入ったら終わりだ。

 

不安で不安で、ハンドルを持つ手が震える。

 

夜、姉から連絡が入る。

 

熱は39.3分。

 

翌日、面会時間と同時に、母の所へ顔を出す。

 

熱は37.5分くらいまで治まっていた。

 

「抗生剤が効いたので」、と言われた。

 

「最も恐れていた心内膜炎の兆候は今のところありません。

 

ただ、何故熱が出てしまったのかの原因も特定できない。」

 

ほとんど無くなっていた点滴の薬が、すごい量に増えている。

 

あと一歩だったのに、という自分の無念を表してはいけない、母が一番

気落ちしているのだから、とわかっていても、母を励ます声に滲む無念さを

多分母は感じている。

 

それからずるずると、母は微熱から解放されなかった。

 

熱発の数日後、突然の心肺停止になった。

 

その時もたまたま姉がいて、熱のある母を集中治療室の先生が様子を

見に来てくださっている最中だった。

 

突然警報のようなブザーが鳴り響き、母が白目をむいてぐたっとなったらしい。

 

そこら中の看護士さんと先生が駆けつけて、姉は吹っ飛ばされ、部屋から

出るように言われ、私に電話を掛けてきた。

 

電話を掛けている最中に、看護士さんに呼ばれたらしく、

「どうしたの?」と聞く私に、

「今呼ばれたから、あとで詳しく」と言って電話が切れた。

 

仕事中だった私は、なんとか心を保って仕事を終え、夜遅く、事の顛末を

聞いた。

 

姉は「私がいる時に限ってママの様子がおかしくなる。」となげき、私は母の

状態が本当にぎりぎりなのだと身に染みて、心が潰れた。

 

それから10日以上の日々が過ぎている。

 

良いニュースは外付けのペースメーカーが外れたことと、不整脈が出なくなり、そのお薬から解放されたこと。

 

但し、熱は出たり下がったりを繰り返し、自力で血圧をしっかり上げられず、

集中治療室から出るめどは一向にたたない。

 

「なかなか出してあげられなく、申し訳ないです。」と集中治療室の先生が

話しかけてくださる。

 

「患者さんもご家族もお疲れになると思います。」

 

そう、くたくた。

 

そして辛い。いつもいつも不安の雲に押しつぶされそうになる。

 

 

「先生、母は瀕死の状態だったんです。最初、手術はできないと言われるくらい。それを手術してくださって、今、集中治療室でこれから生きるための治療をやって頂けてるって、すごい事なんです。生きている母と話ができて、一緒に

お茶を飲んだり、テレビを見たり、母のぬくもりに触れられるって、それだけで、幸せなんです。ありがとうございます。」

 

私は自分が自分で言った言葉を噛みしめた。

 

失うことを覚悟しかけたこともあった。

 

でも、今、まだ私は母といる。

 

辛いと言ってくれる母と話をして、背中をさすり、オイルを付けていい香り~と

微笑み合えている。

 

意識レベルが低下して、これでだめかと思った時も、目覚めた母が、嚥下の

許可が出て一緒にゼリーを食べながら、

「また、貴方と話せて、こんなもの食べれて、幸せ。」と言ってくれた母がいる。

 

熱発した後、「やっぱりだめなのかな~。でも生きたいな~。」と言ってくれる

母がいる。

 

1000パーセント不安、1000パーセント辛い。でも、それでもいい。

 

今日、母がここにいてくれるなら、どれだけ辛くても、私はいい。

 

「辛いね~」と言う母に「そうだね、みんな辛い。私ものっちゃんもパパも、皆辛くて、苦しくて、不安。でもそれでいいよ。それでもみんなでその辛さや不安や苦しさを分け合っているんだから、それも楽しいよ。」と言うと、

母は「本当にあんたは変な子。」と苦笑いをした。