「あのね。わたし、将来テレビに出る人になりたい!」
子供の頃に母に言ったのを覚えている。

あくる日、バラエティ番組になぜか出ている夢を見た。
今思うと、有吉さんと田中みな実さんがいた。有吉ジャポンだった。

「勉強しないと将来とっても苦労するよ!テレビなんて出られないよ」
母が言った。
そこから、勉強が本当に出来なくて、落胆する母を喜ばせようとちょっとずつ勉強するようになった。テレビに出られる人にもなりたかった。

国語から成績が上がり始め100点を取るようになったし、本読みの時間には、たくさんの人から拍手が上がった。

中学受験も無事終わり、祖父が死んだ。
お金がかかるからと中学受験を反対していた祖父が亡くなった。

それでも「おじいちゃん!受かったよ!」そう言いに行きたかったが死に目にもあえなかった。

でも、後悔はなかった。一生懸命頑張って合格した中学!嬉しかった。

中学の入学式の日におたふく風邪にかかり一週間休んだ。

転校生?!と、虐められた。
虐められたのは小学生の時転校した時と2度目だった。つらくて何度も公衆電話からお母さんに電話した。

虐めっ子は、後ろにいた。
私の椅子の後ろを何度も何度も蹴った。

ある日親友が私に素っ気なくなった。
部活に行くと、誰も返事をしなくなった。

教室でも後ろにいた虐めっ子はニヤリと笑った。

ある日、虐めっ子は、彼氏になるような人を紹介しろと言った。私はこわくて知り合いを紹介した。

虐めっ子はその後、私の紹介した人と結婚した。

大学生になって、大好きな彼ができた。
どんな事を話してもわかってくれる素敵な人だった。
将来はずっと一緒に!そんな事を思いながらも、「テレビに出る人になりたい」そんな想いが捨てられなかった。
大学で新卒の就活をしながら、テレビやラジオで有益な情報をお届けする情報のリポーターになりたいと思った。
存在さえ認められなかった学生時代。
誰かの存在を際立たせる仕事がしたかった。

全国100社以上の就活をした。いつも夜行バス。アルバイトづけの日々。
素敵な彼が支えてくれた。

地元を離れ、
やっと夢への第一歩。
つづいて第二歩。
第三歩。

歩けば歩くほどつらくて、支えてくれた遠距離の彼が恋しくなった。

それでも、夢がだんだんと近づいてるのがわかった。

私は、彼ではなくて夢をとった。

それから走り続けたけど、近づいていると思った夢は遠く遠く、とっても遠いところにある事に気付いた。

どれだけ足掻いてもたどり着けなかった。途方にくれた。

気付いたら、たったひとりぼっちになっていた。
親や、励ましてくれる人はいたけど、心を許せる人が側にはいなかった。

何年経ったんだろ。心から笑う事も泣くこともなくなった。ビジネス元気と言われることもあった。実際そうだったのかもしれない。

自分がいったい何が好きなのか、どんな事をしてると心が休まるのか。なんにもわからなくなっていた。

好きだと思った人がいた。その人は、シングルだったけど、たくさんの女性がまわりにいた。

誕生日はいつもひとりぼっちだった。

気休めに誘った友達にも断られた。

たくさんのひとが励ましてくれたけど、たった一人心を許せるひとが欲しい。

そんな願いは叶わなかった。

好きだと思った人に指輪を渡した。
1年ずっと好きで、好きで片思い。

受け取ってくれたけど、返事はなかった。
相手の返事を、急かして、無理だと自ら諦めた。

思えば、諦めるために指輪を渡したのかもしれない。

もう、やるしかなかった。

髪を振り乱して、やるしかないんだ!!必死でアピールした。

夢が、近くにやってきた。

そして、小さい頃の夢である「テレビに出る」「情報を伝える」が叶い始めた。

まわりには、かつてのような虐めっ子はいなくて、みんな協力してくれて必死で一緒に考えてくれて、とっても素敵なひとが集まりだした。

今の私は、素晴らしい人に囲まれて、マネージャーさんも、友人も親も全てに感謝しなければいけない!!

でも、元気を振り絞って行った飲み会では、「ほかのアナウンサー紹介して!合コンして」

「この、貧乏アナウンサーが」

椅子を後ろから蹴る音、

箸を投げる音、

電車でぶつかられる音、

カバンで殴られた音、

いろんな声や音が私を取り囲んだ。

新しく人と出会う場に行くのがこわくなった。

何もする気がなくなったけど、

一つ気づいた事があった。私は自分が大好きだ。
誰かを妬んだり、通せんぼしたこともない。

虐められて、やり返すんじゃなくてオドオドして悲しんで、
ただ、ただ純粋に夢を追いかけて。

いつも相手のこと思いやっていた。それが仇となった事もあるかもしれないけど、

誰のせいにするでもなく一生懸命頑張ってみていた。

私は、やっぱり自分が大好きだ。

自分に生まれて本当によかった。

声を殺して泣いてみた。

いっぱい寝た。

いっぱいご飯を食べた。

だんだん元気になってきた。

私は、私!!

今、たくさんの素晴らしい人たちがまわりに集まってきているように、
私を取り巻く環境が、こうやってどんどん良くなればいい。
私は、どんな不幸だって、腐らず笑い飛ばす力をもっている。

ヤルゼ!そんなきになっている。

素晴らしい人たちが周りにいるこの環境に感謝して、私は、突き進む!いつまでも!

〜最後まで読んでくれてありがとうございました〜