映画感想「マイ・ボディガード」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『マイ・ボディガード』(1980)


クリフォードは私立に通う高校生
でも新学期早々、彼は公立校への転校をパパに切り出された
お利口さんばかりでモヤシっ子を育成している私立高校を、パパもお婆ちゃんも決して彼の為にはならないと心配したんだ
そうじゃなくても家族は今、パパが老舗ホテルの支配人になったお陰で普通以上の生活をさせて貰えている。クリフォードにはまだそんな生活に馴染んでほしくないという願いが込められていたんだね

でも、ダウンタウンにある学校は違い過ぎた
お約束のように現れた不良グループ。そのリーダーのムーディーにクリフォードは目をつけられたんだ
彼は少年版のマフィアみたいなもので、相手を見定めると脅しをかけては金品を巻き上げるとんでもないワルだった
クラスメイトとたかを括っていたクリフォードは学校へ行くのがイヤになる程、毎日まいにちムーディー達から逃げなくちゃならなくなっちゃった

そんなある日、教室の空いている席に大きな身体の男子生徒が入ってきて座ったんだ
彼の名はリンダマン
不登校が続いていたのでクリフォードは知らなかったんだけど

…彼は殺人を犯しているんだ
…いや、女性教師を襲ったんだよ
…違う違う、ヤクの売買をしてるんだ

まあ、よく無い噂しか出てこない彼
でも、クリフォードは彼に興味を持った

だって、ムーディー達にロッカーへ閉じ込められた時に扉を開けて助けてくれたし、トイレで絡まれていた時には彼が現れただけでムーディー達が立ち去ったくらいだ
……イケるかも

こうしてクリフォードのリンダマンへの接触が始まり
2人の間にはいつしか同級生らしい友情が芽生え始めて……
思惑は下心だったとしても、友情はそのドライな関係を捨て去って素晴らしい思い出を生み出してゆきます

クリフォードの大人びた打算が、リンダマンの誠実さと他人には言わない悲しみによって打ち砕かれ

良い意味で若々しくなってゆく展開が素敵です

実はムーディーとクリフォードの生き方は大人びているという意味では表裏一体
ムーディーが彼を執拗に苛める姿には良い子ぶる自分に似たイヤな奴を見る思いがあったのかもしれません

これは私も当時経験していた、大人びた子が年相応の人生の輝きを取り戻す青春映画でした


さて
この映画、日本公開は1981年の春
マット・ディロン(ムーディー役)が注目され、このあと日本では「初恋物語」(未見)のあと、83年の「アウトサイダー」で一気に人気に火がつきました。個人的には「テックス」(82)の田舎の青年役も好きでしたね
他にも「フラッシュダンス」で人気の出たジェニファー・ビールスや(左から2人目)
今やコメディエンヌとして人気のあるジョーン・キューザックの初々しい姿も見られます

でも、私はリンダマン役のアダム・ボールドウィンが印象的でした
寡黙なんだけど瞳が熱いんですね
この人は活躍するだろうと、高校生の背伸びしたがり映画ファンは感じたんですが
このあと音沙汰なしで忘れてました
それが数年後にビックリした姿で現れます
「フルメタル・ジャケット」(1988)
この凄い凄い、怖い怖い戦争悲劇でアダム・ボールドウィンは市街戦の中を駆け抜ける殺人マシンのような男を演じました
映画館で彼が現れた時、私身を乗り出して確認し
涙が出ました

まるでリンダマンが戦場へ放り込まれたように可哀想だなという想いになっていたのかもしれません


懐かしさで見返して