映画感想「団栗と椎の実」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『団栗と椎の実』(1941)


ある田舎
学校が終われば子供は遊ぶのが仕事

でも都会で生まれ育った秋雄くんはまだ友達にも馴れず、遊びにも着いて行きたがらずに
今日も家に逃げ込んでブルブルガタガタ
彼が言うには(団栗たちが乱暴なんだ)
でも跡取りにと秋雄くんを養子にしたお父さんにしてみれば(都会の椎の実が弱すぎるんだ)という理屈

彼のお尻を叩いて、さあさあ遊んできなさいと送り出したものの
結果は裏目に
秋雄くん、とうとう女の子たちとゴム跳びして遊び始めて
お父さん、致し方なしと彼を連れて出かけます

サァ橋を渡りなさい
ありゃ、こりゃ酷いな
お父さん考えてしでかしたのは
秋雄くんを励まして応援して気を緩めさせておいて木登りをさせ
なんとまあ、置いてきぼりにするという
世が世なら虐待と通報間違いなしの所業ですが、お父さん知っていた
(今はそんな時代じゃない)と

鍛えられれば嫌でも歐と応える肉体、そして精神
秋雄くん、やがて見事に潑剌アドレナリン出まくりの腕白少年に変貌を遂げ
見事、田舎のガキ大将を鋼の歯カミカミ作戦で泣かすまで痛めつけ
ポカスカ殴って周りにもその力を存分に誇示するのでありました
今日も今日とて秋雄くん
友達と遊びに出かけます
(栗を一杯とってくるよ!)

勇んで出かける姿を見て、お父さん
(……あおられたよ)

丸大ハムの名コピー
(腕白でもいい、逞しく育ってほしい)誕生秘話
一巻の終わりでございます

☝️🙄丸大ハムはウソです


松竹を代表する叙情派の名匠、清水宏監督が昭和16年に発表した28分の短編は、上記載の通りです
特に凄い!深い!感動した!という事はないのですが

キナ臭い世相を嫌い、単純な日常風景にドラマを感じようとするかの様な展開は
監督の気持ちが強くはっきりと漂います

感想に併せて写真を載せようと、映像を撮ってみてウーンと思ったのは
かなり意図的に人物をスクリーンの真ん中に据えた構図を、清水宏監督は好きなんだなという事


黒澤明や小津安二郎に比べれば、まだまだ齧った程度でしか清水宏を知らない私としては
自分の晩年に対峙し得る映画監督の一人として

清水宏という人物を見つめているのです



昭和16 年・松竹
監督・脚本〜清水宏