映画感想「新・平家物語」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

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そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います


『新・平家物語』

かつて黒澤明がNHK教育(現・Eテレ)の若者向けの番組に出演し
(映画にしたい小説)を紹介し想いを話す企画があって
特に印象深かったのが「平家物語」を映画にしたいという発言でした
ただし、映画製作の酷しさを知る監督は稀有壮大な平家一門の栄枯盛衰を映画に出来るなど期待はしておらず
「でも、冒頭の(祇園精舎)だけでも画に出来たらすごいと思うんだ」と
楽しそうに夢を話されていました

そんな黒澤明の夢から遡ること凡そ30年前
"ラッパ"こと永田雅一が率いる大映は、日本映画の監督として当時最高峰の一人
溝口健二の演出を以て
吉川英治の原作による「新・平家物語」を映画化します
まだ藤原氏の庇護下にあった武士階級(平家)の青年武者・清盛が出生の秘密や時子との恋などを経て成長してゆく
いわば青春映画です

眠狂四郎や三隅研次 作品での市川雷蔵しか見たことのない人には
太い眉毛に大股開きでノシノシ歩く彼に驚くかもしれませんが
私は高校時代にこの雷蔵を見て、それまでテレビ放映された眠狂四郎のノッペリした彼しか知らなかったのでビックリもし
感動もしました

父の死を乗り越え、新たに平家の長となって
世俗の辛苦を顧みずに我が世の春に酔い興じる藤原氏の人々を見つめて、武士の時代を実現させると決意する清盛の姿は
鬱憤を内に秘めて生きる現代の人々にも、熱いエールになるでしょう