『新・平家物語』
かつて黒澤明がNHK教育(現・Eテレ)の若者向けの番組に出演し
(映画にしたい小説)を紹介し想いを話す企画があって
特に印象深かったのが「平家物語」を映画にしたいという発言でした
ただし、映画製作の酷しさを知る監督は稀有壮大な平家一門の栄枯盛衰を映画に出来るなど期待はしておらず
「でも、冒頭の(祇園精舎)だけでも画に出来たらすごいと思うんだ」と
楽しそうに夢を話されていました
そんな黒澤明の夢から遡ること凡そ30年前
"ラッパ"こと永田雅一が率いる大映は、日本映画の監督として当時最高峰の一人
溝口健二の演出を以て
いわば青春映画です
眠狂四郎や三隅研次 作品での市川雷蔵しか見たことのない人には
感動もしました
父の死を乗り越え、新たに平家の長となって
世俗の辛苦を顧みずに我が世の春に酔い興じる藤原氏の人々を見つめて、武士の時代を実現させると決意する清盛の姿は
鬱憤を内に秘めて生きる現代の人々にも、熱いエールになるでしょう