映画感想「ワイルドバンチ」(再掲載) | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います


『ワイルドバンチ』


テキサスとメキシコの国境近く
鉄道会社の金庫から銀貨を強奪したものの、先回りしていた賞金稼ぎたちに攻撃を受けた
リーダーのパイクたちアウトロー集団

仲間を失い、やっとの思いで死地を掻い潜った5人に行き場はありません

やむを得ず彼らが選んだのは国境越え
メキシコに逃げ、なんとか食いぶちを得ようとする彼らに辿り着いた村の老人が語るのは
村を通った政府軍のマパッチ将軍の悪行と、仲間のひとり、エンジェルが心を寄せていた娘がマパッチに着いて行ったという事実
いきり立つエンジェルをなだめつつ、マパッチ将軍の部隊が駐屯するアグア・ベルデに向かいますが

アウトローたちを待ち受けていたのは
鳴り止まない銃声と砂埃、そして鮮血の飛び散る修羅場の連鎖だったのです



完全燃焼しようと決めた男達の、愚かだけれど見つめていたい

死出の旅

無駄だと分かっていても戦わなくてはならない時がある、なんて
どこかのマンガの主人公みたいな生きざまを、そのまま何の工夫もなく真っ正直に描ききった
サム・ペキンパー監督の名作
そんな生き方を選んだ不器用さを映画ファン(大半が男)は愛したし
そういう生き方を選べなかった(普通は選ばない)自分を恥ずかしいとさえ思いながら

熱い血潮をたぎらせて私たちは見入るのです

今回久しぶりに見て感じたのは
みんなよく笑う
それも心から
愉快だ、面白えと気持ちよく皆で笑うのです

愛想笑いや卑屈な笑顔じゃない
アウトローたちの追い詰められてゆく心情の裏にある
生きている"今"への感謝が笑い声に込められているようでした


アーネスト・ボーグナインの笑顔なんて、何度見ても最高です

損な方へ 損な方へと流されるのが好きな私のようなタイプの男には
たまらない奴らなのです


正義の味方なんて出てきません

不器用な男たちの、無様な生き方を見つめる
熱い映画です

(2017.10.6より転載)