映画感想「野のなななのか」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

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そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います


『野のなななのか』

北海道・芦別市
古物商“星降る文化堂”を営む元病院長の鈴木光男が亡くなったのは
3月11日14時46分、92歳の大往生でした
やがて離れ離れに暮らしていた鈴木家の人々が集まります
そこへ清水信子という女性が現れ

やがて鈴木家の中へ溶け込んでゆく信子によって、光男の過去が見えてきて……

3時間近い大作です
これを映画館で見たら音を上げたかもしれません
それほどに重厚さと自由さがマッチして、悲しい男の生きざまを滔々と語るのでした

他評を読むと、どうやら本作の前に大林宣彦 監督が撮られた「この空の花」という作品と対にして見たほうがよさそうなのですが
いやいや、なかなかどうして
本作1本でも魅力はありました

見ていて面白いなあと感じたのは、もしかすると大林監督は
黒沢明 監督の「夢」を、自分なりに焼き直してみたかったんではないかなと思い至った事

楽器を打ち鳴らして行進する人々や

後に福島原発の事故を予言したとまで語られた

赤富士のエピソード
他にも意図的に合成だなと思わせる画や、戦争に対する断固たる拒絶など
「夢」を何度も見た私には、どこかで大林宣彦さんは黒沢明の背中を追いかけてみたくなったのではと思いました
(ちなみに「夢」のメイキングを撮ったのは大林監督です)

と、これは私なりの楽しみ方かもしれませんが
(^ω^)

東日本大震災が起きた時間
敗戦の日は8月15日ばかりではなかった事実

忘れてはいけない時を、胸に刻んでから
人は進まなくてはいけないと

映画は雄弁に訴えていました
それが辛い人には向かないかもしれませんが

私は受け止めたいと思いました


2014年
監督・脚本~大林宣彦
音楽~山下康介
主題歌~パスカルズ

出演
品川 徹
常盤貴子
安達祐実
寺島咲
村田雄浩/窪塚俊介
松重豊/山崎紘菜
左時枝
伊藤孝雄

(2017.6.5より転載)