映画感想「世界一キライなあなたに」(再掲載) | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います


『世界一キライなあなたに』(2016)



青年実業家として前途洋々だったウィルを襲った交通事故は
彼から四肢の自由を奪い去るというあまりに辛い未来を与えます

仕事が見つからない父親に代わって家計を支えていたルイーザが失業してしまった時、職安から紹介された(障害者の介護)に飛びつこうとしたのは
彼女へ新しい未来を与えます

不器用すぎるほど正直で、お洒落の好きな女性が
ささくれ立った気持ちに身を任せた男性の気持ちを、ほぐしてゆく温かさ

ロマンティックな中にジワジワと現実の酷しさをも感じさせて

これは素敵なラブ・ストーリーでした

2人でクラシックのコンサートに行った帰り

車からウィルを降ろそうとし始めたルイーザを制して、彼が言います
(もう少しこのまま……赤いドレスの女の子と、コンサートへ行った男でいさせてくれないか)

染み入りますね
最高の告白ですね♪

さて
本作はクライマックスで賛否両論だったそうです

四肢の自由を失った者のみが考え得る、究極の選択として
成る程なあと思う半面

生きていてほしい、と願う側の気持ちもまた分からないではない

私は(自由だった最高の時間を覚えているからこその苦痛)からの脱出を願うウィルの気持ちを見ていて
高校生の時に見た映画

Whose Life is it Anyway?
「この生命 誰のもの」(1981)
という作品を思い出しました

舞台劇を元にした、40年ちかく前の作品ですが
これも素敵な映画でした
そして、本作のウィルをはじめとして沢山の考え方があることを知りました

片側からだけ見てはいけないのだ、という当たり前の気持ちで
愛情や正義感、倫理観も含めて語り合っていけたら良いですね

正解がない(人生の選択)を、ラブストーリーとしてしっかり描いてくれた

素晴らしい映画でした



(2017.4.8より転載)