映画感想「蜜のあわれ」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

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そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『蜜のあわれ』(2015)



老作家が描いた物語から息吹を得、人の姿で現れる金魚と


そんな金魚に孤独さや老いを晒し、自らの妄想に耽溺してゆく男のファンタジー

室生犀星が原作だと足を運んだ人はいたのだろうか
大杉漣が主演だと足を運んだ人はいたのだろうか

永瀬正敏も出ているし、高良健吾の芥川龍之介も不思議な魅力だ

人気も実力もある真木よう子が出ているのも贅沢なのだが


やはり見たいと思わせたのは2つ


二階堂ふみの映画だという事と

監督を、変な作品撮らせたら一級の
石井岳龍(聰互)だということ

カッ飛んでて呆気に取られた「逆噴射家族」からこちら、記録よりも記憶に残る作品作りを続けてきた監督ならではのリズムは、比較的落ち着いた作風のこの作品でも

見るものを惑乱させようとしています
ちょっと鈴木清順さんの後期の作風にも似てきましたね♪

この子は(金魚)なんだな、という事を忘れずに見ていられたら
まあ、楽しめるんじゃないでしょうか
時おり大杉漣が演じる作家の視点から手招きするので、注意です

ちなみに、この作品を見たあと

同じく犀星が書いた「火の魚」という作品がテレビドラマ化されているので、チャンスがあれば是非


老作家を原田芳雄
「蜜のあわれ」の単行本を装丁したとされる女性編集者を尾野真千子が演じた佳作です

作品の世界が一段と膨らむかもしれません





2015年・「蜜のあわれ」製作委員会
脚本~港岳彦
監督~石井岳龍

出演
二階堂ふみ
大杉漣
真木よう子
韓英恵/上田耕一
高良健吾
永瀬正敏

(2016.12.23より転載)