映画感想「黒衣の刺客」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

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そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『黒衣の刺客』

暗殺者として育てられ、かつての恋人の命を奪わなくてはならない事になる女性を描く
静謐な時代劇

なるほどホウ・シャオシェン(侯孝賢)らしいといえばらしく
でも、その(らしく)は決して満足して発揮したものだろうか、というチグハグな部分もまた多いなと見た感じ

その意味では(らしくない)映画にも思えましたワンシーン、ワンカットは実に丁寧に
構図から人の動きから、それをまた綺麗に切り取った編集まで
ホウ・シャオシェンらしさは溢れているにも関わらず

何故でしょう、あまり好きになれない
敢えて違和感だけを汲みあげれば

やはり武侠映画らしい場面が浮いています
妻夫木聡さんが登場した時の画面構成と音楽なんて、凡そ本編からは浮いた雰囲気だったのも気になりました

かつて「始皇帝暗殺」という映画をチェン・カイコー監督が撮った時と同じような違和感が
静かに漂っているのです

彼女の生い立ちと、それ故の愛への渇望を、もっともっと伝えて欲しかったと思います

あと、余談ですが
その1忽那汐里さん、申し訳ないけど必要なかった気がします

その2
男性の人物がみな髭だらけで、いつも誰が誰だか分からなくなるので
(我が家では"横山光輝現象"と呼んでいる)
アクセントつけて♪

綺麗な映画
でもホウ・シャオシェンらしいと言うには、物足りないもっと静謐さにこだわれたなと

私は思います

(2016.6.20より転載)